女性の脱毛とスピロノラクトン療法の有効性についての報告が、「Journal of American Academy of Dermatology」10月号オンライン版に掲載された。

スピロノラクトンは利尿効果のある薬剤で、もともと高血圧の治療薬として利用されてきたもの。そのほか、ニキビの原因となるアンドロゲンの働きを抑える効果もあるため、ニキビ治療薬としても使用されている。また、高アンドロゲン血症女性の脱毛への効果も期待されている。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のShannon Famenini氏らは、脱毛に悩む女性166人のデータ対象に、スピロノラクトン療法の有効性を検討した。また、甲状腺疾患や多毛症歴などの調査を64人の女性を対象に実施した。

スピロノラクトン療法を受けた患者19人は脱毛・薄毛の悪化は見られなかった。調査対象患者の15%では脱毛・薄毛は悪化、45%は何の変化も見られず、30%が軽度の改善を報告した。スピロノラクトンと経口避妊薬には相関関係はなかった。ニキビがあるまたは多毛症の患者では、スピロノラクトンの効果がよく現れた。スピロノラクトンの量と改善効果には関連はなかった。研究者らは今回の研究結果から、スピロノラクトン療法を受けた患者の74.3%で改善が見られたと結論している。

高アンドロゲン血症は、男性ホルモンのアンドロゲンが恒常的に高値を示す女性の疾患。アンドロゲンは副腎皮質や卵巣から一定レベル分泌されているが、高値になった場合は肥満、多毛症、また不妊の原因になるとも言われている。