【連載】化粧品各社のイノベーション研究【15】ホーユー① ~ヘアカラーを消費者向け、プロ向けに販売し成長~

2016.03.11

特集

編集部

ホーユー株式会社(愛知県名古屋市東区)は、1905年(明治38年)に家庭薬製造販売業『水野甘苦堂』として創業したのが始まり。その後、1923年に法人組織の朋友商会を設立。1964年に現社名に変更した。以降、ファッション・文化としてのヘアカラー(白髪染め等・医薬部外品)を消費者の生活に根付かせながら自ら市場を創出。今では、家庭用ヘアカラー市場で国内トップに躍り出た。

現在、市場に投入している染毛剤は、コンシューマ向け(一般消費者)、プロユース向け(理美容室などプロ用向け)、海外向け合わせて約2500品目にのぼる。
この中で、コンシューマ向けの代表的な商品は「ビゲン香りのヘアカラー」で、ヘアカラー特有の臭いがなく髪の生え際の白髪をきれいに染める。今年2月にコンシューマ向け商品として「ビゲンカラートリートメント」を新たに市場投入した。また、プロユース向けの代表的な商品は「プロマスターEX」や「プロステップ」などがある。

ヘアカラーの国内販売を担当する社内部門は、営業統括本部が管掌している。営業は、消費者向け営業とプロフェッショナル営業とに区分される。
消費者向け営業は、商社・ディーラーなどを代理店としてスーパーやドラッグストア、化粧品店、ホームセンターなどに卸販売し、そこから一般消費者に販売する形態(図1参照)。
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卸販売先のドラッグストアや薬局薬店などとの取引は、2009年9月に旧カネボウ傘下のクラシエグループ買収に伴い、販売チャネル拡大に有効打となっている。
同社では、7年を経たクラシエの買収効果について「人材交流や基礎研究、物流、調達など幅広い協働効果を上げている。基本的に自立した形で経営する姿勢には変わりがなく成長を目指して取り組んでいる」という。

一方、理・美容サロンなどのプロユース向け商品営業は、プロフェッショナル事業本部が管掌している。
ヘアカラー、ヘアケア、パーマなど多種多様なプロユース商品は、代理店を介して理美容サロンに卸販売する(右図参照)。
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また、ヘアカラー分野のプロフェッショナルの養成やスキルアップを目的としたヘアショーやセミナーの企画・運営なども行っている。
全国5都市に開設している「ホーユースタジオ」では、ヘアカラーリング技術を中心とした美容師向けセミナーを実施。また、ヘアカラーリスト養成のための教育機関「ホーユーテクニカルアカデミー」 (職業訓練校として認定)は、毎年200名近い美容師がヘアカラーリングのスペシャリストとして巣立ち、ヘア業界やファッション業界で幅広く活躍している。

現在、国内営業の強化策として、男性白髪市場の活性化に取り組む。男性用白髪染「メンズビゲンカラーリンス」などの商品を前面に押し出し、男性用白髪市場での需要を喚起していく作戦。

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