アメリカでも重要課題の食物繊維不足「ファイバー・ギャップ」

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2016.04.14

国際部

健康的な腸内細菌叢のために、西洋的食事に不足しがちな食物繊維が必要という論文が出版されたことを4月11日、学術出版社Cell Pressの広報が伝えた。

アメリカでは食物繊維の摂取量の減少が顕著で、推奨される1日摂取量と実際に摂取した量との差異(ギャップ)を「ファイバー・ギャップ」と呼んでいる。米国食生活指針諮問委員会の作成で、国民の栄養指針となる「アメリカ人のための食生活指針(Dietary  Guidelines for Americans:DGA)の2005年版で初めて、食物繊維は「注意すべき栄養素」として指定されている。不十分な食物繊維の摂取は肥満や慢性疾患の原因になるとされ、「ファイバー・ギャップ」は大きな懸念となっている。

また、西洋的な食事で失われた微生物叢の復元のために食物繊維は不可欠であるということから、健康推進のために食生活の改善が重要であると多くの科学者が提唱している。腸内微生物叢の多様性は免疫機能や代謝に大きく関与していている。アメリカでは現在、食物繊維の摂取量は推奨量の約半分にしか達していないという。

西洋社会に住む人々よりも非工業化社会に住む人々で、食物繊維の摂取量は多い。アフリカ系アメリカ人に南アフリカの伝統的な食事を摂ってもらったところ、1日の食物繊維の両は55グラム、2週間で大腸がんマーカーの値が大きく改善されたという報告もある。この報告をした研究者らは「ファイバー・ギャップ」対策には、科学者、食品生産者、政策立案者、および規制グループによる協力、および、繊維の種類と食物繊維強化食品が腸内細菌叢に与える影響についての臨床的評価が必要と述べている。

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