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【29】コスメディ製薬② ~マイクロニードル特許訴訟で勝訴~

コスメディ製薬は、医薬テープ貼着剤や経皮吸収促進剤、医薬品テープ剤などの「貼付型医薬品」と「高機能性スキンケア化粧品の研究・開発・OEM及び化粧品の経皮性分析業務」並びに「医療機器」の3つのビジネスモデルを中心に事業展開している。

この3つのビジネスモデルで、研究開発の要諦を成しているのがマイクロニードル技術(経皮吸収製剤)。だが、マイクロニードル技術の特許権侵害問題で、薬物伝送システムの研究開発を行う京都の企業(原告)からマイクロニードル技術の特許権侵害訴訟を起こされるなど係争問題に発展したが勝訴した。

マイクロニードル技術の特許権侵害訴訟問題は、京都の企業が保有するマイクロニードル技術について京都の企業が、「コスメディ製薬は、当社の特許権を侵害している」として2013年に製品の製造・販売等の差止めと損害賠償金の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。

この訴えに対して東京地裁は、2014 年9月に原告の請求をすべて棄却する旨の判決を下した。しかし、これを不服とした原告は、知的財産高等裁判所(知財高裁)に控訴したが、2015年10 月に原告の控訴を棄却する旨の判決が言い渡された。理由は「原告が行使する特許には、新規性欠如の無効理由があり、権利を行使することはできない」として原告の訴えを退けた。
なお、地裁、知財高裁の判決とは別途、コスメディ製薬が特許無効として特許庁に無効審判請求を行っていたが、同請求に関しても無効の判断が示された。

同社は、2013年4月から10月までの間に経皮吸収製剤をはじめ経皮吸収製剤の拡散測定装置やマイクロニードルアレイ、経皮吸収テープ製剤及び親水性粘着剤、それを用いた親水性皮膚外用粘着剤組成物、親水性貼付剤など5件の特許を取得している。

たんぱく質・ペプチドなどを皮膚から吸収できるマイクロニードル技術は古くから知られ、研究レベルで様々な製法で製作されてきた。そうした中で同社の特異性は、マイクロニードルを工業レベルで製造することに世界で初めて成功し、事業化した点にある。

これによりマイクロニードルの特許権の確立と化粧品・医薬品分野での応用が進み、事業拡大につながった。

最近では、マイクロニードル技術を活用した皮膚浸透型化粧品の引き合いが急増する一方、マイクロニードル技術を活用した医薬品、ワクチンの開発を大学と連携して進めるなど、医療分野での事業意欲を強めている。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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