「D-グルタミン酸」が肌のバリア機能の回復を促進 資生堂研究
2016.12.14
編集部
株式会社資生堂(東京都中央区)は、このほど、D-アミノ酸の一種「D-グルタミン酸」が、幼児の肌に多く20代以降急激に減少することを発見、さらに肌のうるおいを守る角層のバリア機能の回復を促す効果があることを世界で初めてヒトの肌で実証した。この成果を今後発売するスキンケア化粧品に応用する。
D-アミノ酸は、資生堂が高感度な分析方法を開発したことによって研究が飛躍的に進み、肌への有効性が注目されるアミノ酸だ。
タンパク質を構成するアミノ酸20種のうち19種には、鏡映しとなる2種類の構造(L-アミノ酸、D-アミノ酸)がある。以前はヒトの体内で機能するアミノ酸のほとんどがL-アミノ酸だと考えられてきたが、2003年に資生堂と九州大学大学院薬学研究院 浜瀬健司教授の共同チームが開発したD/L-アミノ酸高感度一斉分析装置により、ヒトの体内にもD-アミノ酸が含まれていることが明らかになった。
同チームは、2010年には肌の角層に4種類のD-アミノ酸(D-アスパラギン酸、D-アラニン、D-セリン、D-グルタミン酸)が含まれることを見出した。特に、D-グルタミン酸は幼児の肌に豊富に含まれ、20代以降は3分の1へと急激に減少していく事がわかった。
肌のうるおいを守るのは角層のバリア機能だ。D-グルタミン酸の肌のバリア機能への効果を解明するために、人為的に素肌の表面を荒らした状態を作り、D-グルタミン酸を塗る部位と塗らない部位に分けて肌の回復状況を測定した。
D-グルタミンを塗った部位は4時間後には肌のバリア機能が回復した一方で、D-グルタミン酸を塗らなかった部位は肌のバリア機能が著しく悪化した。この結果から、D-グルタミン酸が肌あれを改善し、バリア機能を回復させることを発見した。
資生堂の過去の研究から、D-グルタミン酸が肌内部からの水分蒸発を防ぐ「細胞間脂質」を補給するスイッチをONにする機能があることが明らかになっている。細胞間脂質は肌に本来備わっている油分で、角層の細胞の隙間を満たし水分の蒸発を防ぐ役割がある。この事からもD-グルタミン酸が細胞間脂質を補給することで肌のバリア機能が高まり、うるおいある健康な肌へと導くと考えられるという。
- 参考リンク
- 資生堂グループ