【連載】化粧品・美容関連ベンチャーの考証㉔開業・創業者向け融資と開業時の資本金なし制度スタート

2017.04.28

特集

編集部

開業に比べて廃業が4.5%に達し、一向に開業の改善が図れない状況下にあった2003年1月、政府の開業者等向け金融支援策として政府系金融機関の国民金融公庫(現日本政策金融公庫=注釈)を窓口に新創業融資制度をスタートさせた。また、同年2月に、最低資本金規制特例措置(制度)を打ち出すなど、創業・開業マインドを喚起する政策を相次いで打ち出した。

国民金融公庫の新創業融資制度は、的確なビジネスプランを持ちながら担保の提供、保証人を立てる事が難しい開業者の支援を目的とした無担保・無保証の融資制度。
融資限度額は、2002年1月で550万円(従来150万円)。それが2004年4月からは、750万円に引き上げた。2003年度の融資実績は、6061件、186億円にのぼった。

一方、最低資本金規制特例措置(制度)は、事業を営んでいない個人が2ヵ月以内に会社を設立して事業を行い、事業計画が大臣の確認を受けた場合、会社設立して5年間会社の資本金が一切必要ないと言う制度。
それまでは、独立開業する場合、商法、有限会社法で定めた株式会社設立に1000万の資本金、有限会社設立で300万円の資本金が必要となるなど最低資本金の確保ができないため、創業や会社設立を頓挫するケースが多かった。

1998年1月に立法化された新事業創出促進法施行後も開業に対して廃業が上回る状況にあったことから、新事業創出促進法を一部改正して新たに中小企業挑戦支援法として施行し、5年間の特例措置として実施した。2003年10月には、同特例制度を利用して設立した会社が1万件を突破した。しかし、2006年5月に最低資本金撤廃を盛り込んだ会社法が施行されたことから、同制度は廃止された。

この頃の化粧品業界の動きとして、コウジ酸を原料とする美白化粧品が製造禁止になった。コウジ酸のコウジは、日本酒や味噌、醤油づくりで使われる麹(こうじ)のこと。麹を扱う職人たちの手が白くキレイであるという理由から、麹菌由来の成分を発見。それから開発されたのがコウジ酸。このコウジ酸に、メラニンの生成を促進するチロシナーゼという酵素の働きを抑制することが明らかになり、美白成分として医薬部外品に使われるようになった。しかし、発がん性を疑われて2003年に製造禁止になった。だが、医薬部外品や化粧品レベルでの濃度では、危険性がみられないということで、2005年以降に製造禁止が解除され再度、使用可能となった。

*注釈

日本政策金融公庫
2008年10月に政府系金融機関の統合再編により「国民生活金融公庫」、「農林漁業金融公庫」、「中小企業金融公庫」を統合して設立された

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