肥満手術の術式変更に合併症リスク
2017.06.1
国際部
肥満手術の術法変更で合併症率が上がったという研究発表が5月26日、「Surgical Endoscopy」オンライン版に掲載された。
アメリカでは胃を縛って小さくするという肥満手術の胃バンディングの人気がなくなってきている。一方で、効果が高い腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を受ける人が増加している。胃バンディング手術は、バンディング(縛っている)部分を除去することで元の状態に回復可能な手術。このため、胃バンディング術で十分な減量効果が表れなかった患者が胃切除術を希望するケースが多いという。同時変更術(simultaneous conversion:CONV)と呼ばれるこの手術における重篤な合併症発症率を調査した。
2010–2014年の米国外科学会の手術の質改善プログラムデータの3万5307例を対象とした。CONVを実施したのは943例(2.7%)だった。調整後の腹腔鏡下スリーブ状胃切除術単独に比べたCONV術では、重篤な30日間の合併症罹患率のオッズ比上昇との関連が見られた(オッズ比1.44)。腹腔鏡下スリーブ状胃切除術での合併疾患は珍しいが、CONV術ではリスクの軽度な上昇が見られた。患者に対する事前のリスク確認が必要と著者らは述べている。