スキャフォールドを利用した植毛技術の開発
2018.01.12
国際部
スキャフォールド(足場)を利用した人工毛髪移植のラットモデル実験の結果が12月28日、「JAMA Facial Plastic Surgery」オンラインに掲載された。
スキャフォールド(足場)は、体外で細胞の増殖を行う場合に、その増殖活動に用いられる基材またはその方法(スキャフォールド治療)を指す。今回の毛髪移植実験では、多孔質高密度ポリエチレン(PHDPE)と膨張ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の2種をスキャフォールドとして用い、生体適合性を評価した。
実験ではSprague Dawley 種のラット34匹を、細胞治療群とスキャフォールド治療群に無作為に分け、移植手術後2・12・24週に観察を行った。また、解剖後スキャフォールドおよび周囲の皮膚組織を染色、線維血管浸潤および急性および慢性炎症の程度を評価した。
34匹のラットのこの動物実験では、スキャフォールド治療群の87.5%で十分な治癒が確認された。しかし今回の分析では、スキャフォールドの種類PTFEとPHDPEとの間での有意差は見られなかった。PHDPEおよびPTFEのスキャフォールドのいずれも、ラットモデルにおいて全般的に良好な耐容性を示した。また感染症やextrusion(細胞の排除)の有意な増加も見られなかった。