立命館大学と資生堂が「光るつけまつげ」を開発
2018.01.15
編集部
立命館大学は12日、理工学部の道関隆国教授が、ウェアラブルデバイス用の無線送電手法として、受電機との距離に応じて送電電力を制御する電力制御付き送電機を開発したと発表した。
また、株式会社資生堂(東京都中央区)との共同研究により、レクテナ、LED、光ファイバーを一体化した超小型受電機をつけまつげデバイスに取り付け、電池や配線なしで1.5m離れた場所から点灯させることを実証したことを明らかにした。
今回の成果を受け、今後は超小型ウェアラブルデバイス「光るつけまつげ」が化粧とリンクしたファッションとして広がるよう完成度を上げていく。また、つけまつげ以外のウェアラブルデバイスに展開することが期待されるとしている。
このほど開発した送電機は、超音波を用いた距離センサーによって人体との距離を計測することで、CPUで距離に応じて送電電力を制御することができる。このことで、人体と送電機間の距離が変動しても、国の定める防御指針以下に制御した電解強度の電磁波を放射することができ、デバイスへの電力供給を可能とした。また、受電機には直径1mm、長さ30mmの発光型光ファイバーにレクテナ(アンテナ、整合回路、および、整流回路)とLEDを組込んだ一体型の受電機を用い、これをつけまつげに取り付けることで、超小型ウェアラブルデバイス「光るつけまつげ」を実現した。
ウェアラブル機器を数m 先の近距離から電磁波で無線給電できれば、その電磁波環境下では、電池切れの心配なくウェアラブル機器を常時使用することが可能だ。
これまで、ウェアラブル機器を近接させ、コイルやコンデンサによる磁界や電界変化で機器の2次電池を充電する近接型の無線給電システムは実現されてきたが、電磁波で近距離から機器に給電し直接駆動する手法は、まだ実用化されていなかった。
電磁波によって遠方から無線給電を行う場合には送電電力を大きくする必要がある。一方で、ウェアラブル機器を装着した人体は移動するため、送電機側に近づくと、その電界強度が人体の電磁波に対する防御指針で示された61.4V/mを超えてしまう問題があった。また、受電機側では、ウェアラブルデバイスが小さくなればなるほど、レクテナサイズの小型化が必須となる。
実験では、1.5m離れた場所から電力10Wの送電によって、つけまつげに取り付けたデバイス内のLEDが電池や配線がない状態で点灯することを確認した。また、送電機と受電機の距離を変化させてもLEDの輝度が変化しないことを確認した。
今回の研究成果は、2017年10月に英国・スコットランド、グラスゴーで開催された国際会議IEEE SENSORS 2017で発表した。
- 参考リンク
- 立命館大学