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ボトックス注射で、深刻なボツリヌス中毒発症

ボトックス注射後にボツリヌス中毒になった症例が6月6日、国際感染症学会(International Society for Infectious Diseases:ISID)のニュースレターに掲載された。

医師による報告例は、中国本土で施術を受けた21~47歳の女性4人の症例。ボトックス注射後の副作用としてボツリヌス中毒を発症し、嚥下困難、呼吸困難などの重篤な症状で入院加療を必要とした。WHO(世界保健機関)の統計では、ボトックス注射後のボツリヌス中毒者の死亡率は5-10%にもおよぶという。

記事では、施術前にボトックス注射の潜在的危険を理解することの重要性を記し、施術は香港の有資格医師によるものを推奨している。原因としては、ボツリヌス毒素の希釈濃度が高すぎたことや(通常使用量の6倍とも)、注射器の使いまわしなどが考えられている。中国本土では、2015年に比べ、美容手術を受けた後のフォローアップに、皮膚科の治療を求める患者が、20-30%増加している。

ボトックスに使用されるボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌の産生する毒素蛋白で、食中毒の原因物質として知られている。強い毒性をもつことから、食中毒では死亡例もあり、また、生物兵器としての開発も進められていたことがあるほど。注射による治療では、筋肉を動かす神経への作用を利用し、筋肉を一時的に麻痺させる効果により、しわ取りや肩こりなどに使われている。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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