花王、肌の見た目の変化をシミュレーション予想できる技術を開発

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2018.07.11

編集部

花王株式会社(東京都中央区)は10日、肌の見た目の変化をシミュレーションで予想する、3D座屈解析技術を新たに開発したと発表した。

これにより、加齢による肌の「見た目のハリ感」低下には、真皮の弾性に加え角層の柔軟性が大きく影響することが明らかになった。また、今回の知見に基づき、真皮に加え角層へのアプローチにより、肌の「見た目のハリ感」を向上する技術の開発へ向け、検討を進めていくとしている。

今回、シミュレーション解析と肌実態との関連性を検討した結果、複数方向の力を加味することにより、角層、表皮、真皮の3層で構成される3Dシミュレーション技術の開発に成功した。具体的には、各々の層の厚みや弾性率の情報は、各々の層の厚みを測定するOCT(Optical Coherence Tomography)や肌の弾性率を測定するCutometerなどの測定機器を利用して入手した。

解析の手順としては、まず2Dモデルで座屈解析を行い、得られた固有値を用いて定義した座屈ひずみによって周期長さを求める。次に、その周期長さをモデル幅とする3Dモデルで座屈解析を行い、得られた複数の座屈モードを重ね合わせて、肌の見た目を予測した。

力学特性を変えて若年肌と加齢肌の解析を行った結果、従来の肌実態解析からいわれているように、真皮の弾性が低下した加齢肌は、若年肌に対して「見た目のハリ感」が大きく低下。本モデルで推定した加齢肌モデルは、これまでの研究で明らかにしてきた弾力線維エラスチンがダメージを受けた肌の外観とも類似しており、実態をよく表していることがわかった。

さらに、本モデルを用いて、環境変化が肌の見た目に及ぼす影響を種々検討した。その結果、若年肌は環境が変化しても「見た目のハリ感」があまり変わらないのに対して、加齢肌は乾燥状態から湿潤状態になると「見た目のハリ感」が大きく向上することがわかった。

今回の研究内容は、日本機械学会2018年度年次大会(2018年9月9日~12日開催)にて発表する予定だ。

参考リンク
花王株式会社

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