東京で化粧品規制の国際会議、安全性評価と分析試験法を採択

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2018.07.13

編集部

化粧品規制における技術的課題について各国・地域の共通認識を図る第12回化粧品規制協力国際会議(ICCR-12)が10日~12日、都内で開催され、動物実験を用いない新たな代替試験法を考察する安全性評価と、ISO標準のICCRへの適用に関するレポートがそれぞれ採択された。

ICCRの日本での開催は5年ぶり。議長国である日本をはじめ、米国、EU、カナダ、ブラジルのほか、オブザーバーとして韓国、台湾、タイ、南アフリカ、イスラエル、コロンビア(産業界のみ)が参加した。オブザーバーについては、年々増え続けており、グローバルで美容への関心が高まっていることがうかがえる。

ICCR-12では、安全性評価と標準的な分析試験法の2課題に関するレポートが採択された。安全性評価に関しては、試験に動物を用いない新しい手法(代替試験法)を用いて、化粧品成分の安全性評価を行うための具体的な試験法(コンピュータ分析や細胞試験法など)を取り上げ、使用できる場面や長所、使用に際しての留意点などを考察した。

今後は、これまでICCRで作成された代替試験法による安全性評価の原則論を踏まえ、これを実際の評価に適用した場合のケーススタディを行っていくことになった。

標準的な分析試験法については、化粧品中の不純物などの分析試験法に関する3本のISO標準をICCRとして評価した結果、これら標準の利用を妥当とするレポートを採択。今後は、化粧品に関連するISO標準の作成状況を調査し、ICCRとして評価が必要な標準を提案することとしている。

これら2課題の英文レポートは、8月中をめどにICCRのWebサイトに掲載する予定だ。

これらのほか、ICCR-12では防腐剤についても採り上げられ、化粧品への使用や、製品種類の多様性に対応して複数成分の利用可能性を確保することの必要性を議論。来年にはホワイトペーパーとしてまとめる予定としている。また、アレルゲンについても取り上げられ、OECDガイドラインにおける動物試験代替法を用いた化粧品成分のアレルゲン性の評価手法を考察した。来年にまとめる予定で議論を進めていく。

また、今年から新しい作業が加わった。1つは一般消費者へのアウトリーチで、化粧品の品質や安全性に関する情報提供資材を作成する。例えば用語集などが挙げられる。もう1つは、マイクロバイオーム(皮膚上の微生物叢)に関連する化粧品の製品や品質などについて情報交換を行うこと。「マイクロバイオームは日本ではまだ馴染みがないが、早い段階で着目すべき課題」(厚生労働省 国際薬事規制室長の中島宣雅氏)として、今後議論を深めていくこととした。

ICCRは、化粧品市場のボーダーレス化に伴い、化粧品規制に関する国際協調が重要になっていく中、厚労省が2007年に、カナダ、欧州、米国の規制当局とともに創設した国際組織。国際貿易の障壁を最小化しつつ、規制緩和を促進することで、最大限の消費者保護をグローバルに維持することを目的に、化粧品の安全性や規制について議論を重ねてきている。各国の化粧品業界団体やNGOも参加して意見を述べる機会も設けられている。

ICCR-12では、会議終了後の7月13日に、初めて「化粧品規制に関する国際シンポジウム」も開催した。ICCRの活動や各国の化粧品規制の動向などについて講演とパネルディスカッションを実施し、化粧品業界関係者ら約600人の参加者らの関心を集めた。

次回のICCR-13は2019年にカナダで開催される。

参考リンク
厚生労働省
日本化粧品工業連合会

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