帝京大准教授の新見氏「漢方は保険医療なのだから使うべき」
2018.09.20
編集部
第5回Kampo Academiaプレスセミナー「漢方って何だろう——和漢と中医学、そして風邪」が20日、都内で開催され、講師の帝京大学医学部准教授の新見正則氏は、西洋医学で治らない病気に対して「漢方は保険医療なのだから使うべき」と訴えた。
新見氏は、日本における漢方医学を「モダン・カンポウ」「和漢」「中医学」の3種類に分類。このうち中医学は、証候名を無限に覚えなければならない“仮想病理概念”であるのに対して、和漢は証候名がない“方証相対”で、モダン・カンポウはあらかじめ決められた“フローチャート”に沿って誰でも処方できるエキス剤との独自の見解を披露。
このうち、モダン・カンポウは、「漢方診療が不要で、古典の読破も不要。処方選択に漢方診療が必須という臨床研究はない。患者のためになれば、西洋医は“道具”として漢方薬を使えばよい」(新見氏)と強調した。
実際、西洋医学で治らない患者に対して、モダン・カンポウを使うと「7割が満足する」(新見氏)。西洋薬で治らない病気に対して、漢方薬が有効である事実が大切で、西洋医にはまずモダン・カンポウで必要十分との考えを示した。
漢方薬が有益な理由として、「患者が喜ぶ」「患者が離れない」「医療費の削減になる」などを挙げた。このうち「患者が離れない」とは、主訴以外の不調も同時に治療できる漢方治療の特徴を表現したもの。「漢方薬を使えるようになって、使うのをやめた先生はいない」(新見氏)といい、保険が効く漢方薬の使用を勧めた。
- 参考リンク
- 帝京大学医学部附属病院