コレステロールを下げる薬「スタチン」に老化予防効果

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2013.09.4

編集部

コレステロールを下げる薬として広く使用されているスタチンに、老化を遅らせる作用があるかもしれないという研究結果が、米国の実験生物学の科学誌「FASEB Journal」9月号に掲載された。

テロメアは染色体の末端にあり、細胞分裂の回数、つまりは細胞の寿命に深く関係しているDNA。細胞が分裂を繰り返すたびにテロメアが短くなり、一定の長さに達するとそれ以上の分裂を起こさない「分裂寿命」となる。現在では、このように体内の細胞が新しい細胞を作れなくなったことが、その生物自体の老化の原因と言われている。

スペインの研究者らによる今回の研究は、スタチンを服用しているグループと服用していないグループ、全203人の参加者を対象に、テロメア短縮の程度を分析した。

その結果、スタチン服用者の方がテロメア短縮のレベルが低く、短くなったテロメアを修復する効果があるテロメラーゼ活性が高レベルであり、スタチンがテロメアの短縮速度を減らすことを発見した。

スタチンは高コレステロール血症の治療薬。肝臓で酵素の作用を阻害することでコレステロールを下げ、心臓発作や脳卒中のリスクを低減させる効果も明らかになっている。最初の発見は1973年、日本人の遠藤章博士で、現在、世界100カ国以上、毎日3000万人が服用しているという「世界で一番飲まれている薬」である。

副作用では、腹痛・発疹・倦怠感などの軽度のもののほか、横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などの重篤なものが知られている。また、認知機能の低下、糖尿病リスクの上昇などの報告もある。よく知られている薬に、まだ知られていない効果があるのかもしれない。

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