免疫抑制薬に筋肉の老化を遅くする効果

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2020.10.1

国際部

免疫抑制薬、抗腫瘍薬のラパマイシンが加齢に伴う筋力低下(サルコペニア)の進行を遅らせる効果を示したという動物試験の結果が9月9日、University of Baselからニュースリリースされた。

線虫やハエなどではSer/ThrプロテインキナーゼTORの機能低下が寿命を延長することが知られている。このTORを標的とするラパマイシンをマウスに投与した試験では、寿命延長効果が確認されている。今回の研究では、ラパマイシンによる長期のmTORC1抑制がマウスの骨格筋の老化に圧倒的に有益であり、筋肉のサイズと強度を維持することが示された。

高齢化により、サルコペニアなどの加齢関連疾患が多くなっている。筋肉の萎縮と強度の低下は自然現象だが、人によって筋肉の量および機能の低下が著しく現れる。この状態はサルコペニアと呼ばれ、80歳以上の人の2~3人に1人が、活動の制限、自律性や生活の質の低下などの影響を受けると考えられている。現在、サルコペニア治療に効果的な薬物はない。この研究はmTORC1を抑制することで加齢による筋力低下を遅らせ、結果として高齢者の自律性と生活の質を保つことが可能であるという希望を提供している。

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