「バスソルト」という商品名の幻覚剤で被害増大
2013.09.25
編集部
入浴剤を意味する「バスソルト」という名称で販売されている幻覚剤がある。せっけん、観葉植物の栄養剤、ジュエリー・クリーナーなどによく似たパッケージで、バニラ・スカイやアイボリー・ウェーブなどの愛らしい名前がつけられているという。
アメリカ合衆国保健福祉省管轄の薬物乱用・精神衛生サービス局(SAMHSA:Substance Abuse and Mental Health Services. Administration)は、「バスソルト」による2011年の救急搬送は約23,000人に上っていたと発表した。
米国メリーランド州ロックビルにあるSAMHSA研究室で、薬物乱用の警告ネットワークに使用されたデータから、2011年にバスソルトに関連した救急科受診数を調査したところ、薬物乱用または誤用による年間救急搬送件数は約250万件で、このうち22904件はバスソルト関連だった。また、救急搬送のうちバスソルト単独での使用が33%、バスソルトにマリファナまたは合成マリファナの組み合わせが15%、バスソルトにその他の薬物の組み合わせが52%だった。
「バスソルト」は、アンフェタミンに似た覚醒作用をもたらすアルカロイドの一種カチノンに関連する1種類以上の化学物質を含み、救急搬送が必要となるほどの強い幻覚作用をもたらす。米国では2011年ごろから問題が表面化していたが、化学物質の禁止規制と、それをすり抜けて作られる新しい薬物とのいたちごっこが続いている。
「バスソルトによる中毒のリスクを含む危険な健康への影響は、深刻な公衆衛生上の深刻な問題」とSAMHSAは述べている。
入浴剤としてのバスソルトは、文字通り湯船に入れる「塩」のこと。香料などを添加してのリラックス効果や、塩による発汗作用を促してのデトックス作用など、湯船につかる風習を持つ日本では一般的に販売されている。幻覚剤の「バスソルト」もインターネットで比較的容易に手に入れることができるため、購入の際には、入浴剤の「バスソルト」かそうでないかの確認が必要かもしれない。