ストップ・ザ・ロコモ! ロコモ市場サプリが牽引

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2013.10.17

編集部

ここへきて骨、関節、筋肉などロコモティブシンドロ―ム(運動器症候群)に対応した素材や漢方薬、サプリメントを市場に投入する動きが顕著になってきた。厚労省の国民運動「スマートライフキャンペーン」に誘発されてロコモ対応製品を市場に投入しているもので、新市場ロコモ市場に賭ける期待が大きくなってきた。

人間の身体の中で特に運動と関わりの深い骨や関節、筋肉の部位をロコモと呼ぶ。加齢とともに下肢を中心にこれらの部位の機能が衰えてきて“立つ”“座る”などの行動がつらくなり、ついには「歩く」という人間の基本動作さえ失う。その危険性が高まった状態を「ロコモティブシンドロ―ム」(運動器症候群)と呼ぶ。現在、患者数は、1,300万人に達する。

厚労省は、国民病ロコモに歯止めをかけロコモ予防を周知させる目的で、昨年から「スマートライフキャンペーン」と名付けた国民運動を推進。2014年度予算に66億円を計上して同プロジェクトを継続する。特に、同プロジェクト推進の一環として3つのテーマ「運動」「食生活」「禁煙」を設定し、これらのテーマに取り組む全国の自治体や団体、企業に対して表彰する「健康寿命をのばそうアワ―ド」を設けてロコモ運動を喚起している。2012年度の第1回アワードでは、最優秀賞、優秀賞、優良賞の3賞合わせて17の自治体、団体、企業を選び表彰した。

厚労省のロコモ国民運動に誘発された格好で製薬、食品、素材各社などが骨、関節、筋肉などに対応した機能性素材「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの各種ロコモ素材をはじめ市販薬、漢方、サプリメントなどのロコモ対応製品を市場投入、百花繚乱の状況になってきた。

ユニチカは、ロコモ対応の機能性食品素材として「ベータ―クリプトキチサン」(粉末と乳化タイプ=写真)を展示会などで販促を強化、健康食品、サプリメント向けに販売攻勢をかける。

i_βタイプ乳化 i_βタイプ粉末ベータ―クリプトキチサンの原料は、温修ミカンのジュース製造で発生する搾汁残さを利用し、酵素で処理して体内での吸収性を高め濃縮したもの。同社は「健常者に対しベータ―クリプトキサンチン乳化タイプと乳製品を同時に摂取する飲用試験を行ったところベータ―クリプトキサンチン単独の場合よりも血液中へのベータ―クリプトキサンチン吸収量が、牛乳の場合で約1.9倍、ヨーグルト飲料の場合で約1.6倍増加する結果が得られている」という。

海外からロコモ対応素材を輸入販売している有泉堂(東京都豊島区)は、米インタ―ヘルス社が開発した「UC-II型コラーゲン」を国内販売している。「UC-II」は、鳥の胸部の軟骨から特殊製法で抽出したコラーゲン含有素材。同社では「変形性関節症や関節リウマチに有用性があるとして注目されており製薬、食品、健康関連企業に売り込みをかけている」状態。

【13年秋新製品】活歩源小林製薬は、脚の筋力低下を改善することで、膝の痛みを和らげる「活歩源」(写真)とサプリメント「グルコサミンEX」を今秋から全国販売した。

活歩源は、トウキやトチュウなど13種類の生薬を処方した加味四物湯(かみしもっとう)を配合した漢方薬(28包入り)。希望小売価格は、税込3,360円。

太田胃散は、肥満が原因の関節の痛みやハレを改善する漢方薬「ロコフィットGL」(第2類医薬品)を他社に先駆けて市場に投入した。中高年世代を中心に、膝関節などの痛みに悩んでいる“太り気味のヒトをタ―ゲットに売り込んでいる。

アステラス製薬や久光製薬など大手製薬各社も骨粗しょう症、関節リウマチ鎮痛消炎材などを製品化し、医家向けに販売中。

最近では、関節、骨、筋肉をキ―ワードにプロテオグリカンやイミダゾールペプチドなどの新規成分も続々と登場。同時に、これらの素材・成分を使ったサプリメントがロコモ市場を牽引している。

国内のロコモ市場規模は、民間の調査会社の調べで2012年度約1,100億市場を形成。2015年度には、1,500億円の規模に達すると予想する。患者数が予備軍を含めて4,000万人いると見込まれていることからロコモ市場に賭ける期待は大きい。

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