オンコリス上場、マイルストーン・ロイヤリティ収益モデル構築

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2013.11.21

編集部

バイオ創薬ベンチャーのオンコリスバイオファーマ株式会社(東京都港区、社長浦田泰生氏)は12月6日、東証マザーズ市場に上場する。同社は、2004年3月にウイルス学に基づく創薬を事業のコンセプトとして掲げ研究開発の経費削減と開発期間の短縮を狙いに創薬開発、製造、前臨床試験、治験をアウトソーシングするファブレス経営が特徴。現在、医薬品と検査薬の両輪による事業を展開。マイルストーン収入と販売後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルを構築した。

現在、医薬品事業で開発中の開発品目は、がん領域で2品目、HIV感染症領域で3品目の全部で5品目。肝臓がん、食道がん適応の「OBP-301」(商品名=テロメライシン)は、がん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊することができるように遺伝子改変した5型のアデノウイルス。2000年10月に日本国内で特許を取得。2011年4月に米国で特許を取得した。すでに米国では、フェーズⅠ、Ⅱの臨床試験の標準規約(プロトコール)に基づき米食品医薬品局から認可されて臨床試験を実施済み。また、2008年3月に戦略的アライアンス契約を締結した台湾メディゲン社と有効性の実証試験を目指す。国内では、2012年8月に厚生労働省より実施承認を得て岡山大学で食道がん、頭頸部がん、肺がんを対象とした放射線との併用療法に関する臨床研究を行っている。

腎臓がん適応の「OBP-801」は、2009年10月にアステラス製薬と独占的ライセンス契約に基づいて開発しているもの。また、感染症領域では「OBP-601」「OBP-AI-001」「OBP-AI-002」の3品目を開発中だ。

一方、検査事業では、同社の基盤技術であるウイルスの遺伝子改変技術を活かし、炎症性疾患「OBP-401」(商品名=テロメスキャン、2012年2月米ジェロン社から独占研究開発権・商業権の導入契約締結)の開発を中心にがん領域の「OBP-1101」、白血病領域の「OBP-1102」の3品目の体外検査事業に取り組んでいる。

収益構造は、医薬品事業においてがんや重症感染症などの難病を対象とする医薬品候補を大学の研究機関、企業などから導入し、同社で臨床開発の初期段階をアウトソーシングによって推進。開発品目の製品的価値の初期評価を行った上で、大手製薬企業・バイオ企業にライセンス供与を行い、契約一時金、開発進捗に応じて収入を得るマイルストーン収入と販売後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルを構築している。また、検査薬事業では、同社が開発したウイルス製検査薬を用いた検査システムを検査ユニットとして検査会社・医療機関などに提供し、技術利用料、技術移転料などの収入を得る。

同社は、今期(2013年12月期)業績について「明らかにできない」としているが前期(2012年12月期)の業績は、売上高3億9千万円、経常損失9千8百万円、当期純損失1億2百万円となっている。売り上げの99%が主力のHIV感染症治療薬「OBP-601」をライセンス供与した米ブリストールメイヤーズと「OBP-801」について同社の株9.31%を保有するアステラス製薬からのマイルストーン収入などで占める。

オンコリス上場関連

参考リンク
オンコリスバイオファーマ株式会社

 

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