美容事件(下) カネボウ美白化粧品白斑被害

最新商品

2014.01.24

編集部

株式会社カネボウ化粧品(本社・東京)と同リサージ、同エキップが製造販売した美白化粧品を使用して白斑が発症した事件で、カネボウが公表した被害者総数は平成25年12月15日現在で1万7,000人(完治または回復した人を含む)に達した。美白化粧品に含有されているロドデノールという成分は皮膚に沈着するメラニン色素の生成を抑制するために開発されたが、それが原因で皮膚が白斑(白抜け)した事件である。

被害者は①今後どのような医療的なケアを受けられるか②白斑は治癒・寛解するのか③治癒するとしてもそれまでの治療費、休業補償、慰謝料は支給されるのか④治癒・寛解しない場合、後遺障害や慰謝料の請求ができるのか―という不安を抱えながら生活している。

カネボウ商品の一部消費者から白斑の申し出が最初に明らかになったのは平成23年10月だった。以来、24年7月に福岡県内、同9月に大阪府内、25年に岡山県内のそれぞれ大学病院の医師から同様の指摘があった。平成25年7月、カネボウは初めてリコール(自主回収=写真/商品例)を開始し、同9月、第三者調査報告書を公表した。

カネボウ美白化粧品白斑被害救済東京弁護団(末吉宣子団長、中村忠史事務局長)によると、熊本大学教授(現山口大学教授)だった福田吉治氏は平成10年に、カネボウが開発したロドデノールの起源とされるラズベリーケトンによる職業性白斑の症例を報告していた。3名中2名は白斑が完治せず残存していたこと、光毒性、光過敏性が示唆されること、動物実験でも色素脱出作用が確認されていることを指摘し、ラズベリーケトンへの注意を喚起していた。ところが、カネボウはこの福田教授の研究を「肌が白くなる」ととらえ、ロドデノールを開発したのではないかとの疑いがある。

カネボウは「白斑は治癒・寛解する」と強調している。しかし、被害者すべてが治癒・寛解するとされる根拠は明らかではなく、将来的な見通しは現時点では判断できない。カネボウは独自に被害者宅を訪問して購入履歴を調査し、診断書を取り寄せたり治療費・交通費などを支給、白斑の症状が軽微で治癒近くまで来た人には5万円を支払っているという情報もある。治ることを前提に対応しているという。

全国各地の弁護団は現在、被害状況を調査中だ。1月7日現在、北海道から宮崎まで16都道府県で弁護団が結成されている。

東京弁護団の中村事務局長は「茶のしずく石鹸もカネボウ化粧品も、被害が発生してからの対応が遅すぎる。責任を取る取らないの問題と、とりあえず使用差し止めの問題とを別個に考えてほしい。被害を確認したら企業としてまず使用中止を呼び掛けるべきだ。被害を最小限に抑えるにはクレームがあればすぐ乗り出すことだ。危ないと思ったら是正措置をとる企業の方が顧客の信頼を得るだろう」と指摘している。

#

↑