エネジードリンクに潜むカフェイン過剰摂取問題
2014.04.15
国際部
米国アイオワ州立大学食品科学・栄養学のRuth Litchfield准教授は4月8日、いわゆる「エナジードリンク」の健康への影響の懸念を同大学サイトに投稿した。
Litchfield准教授によると、多くのエナジードリンクには、カフェイン500mg以上が含まれているにも関わらず、これがボトルに記載されていることはない。ドリンク1本につきコーヒー5杯分ものカフェインを、気付かずに摂取していることは。特に子供の健康にとって大きな問題であるという。
ほかにも、麻黄やガラナなどがエネジードリンクに添加されることの多い興奮剤として挙げられた。麻黄は、漢方薬に使用される生薬として有名で、気管支拡張剤に用いられるエフェドリンを含む植物。一時はダイエットにも利用されていたが、高血圧や脳卒中などを引き起こす危険性が確認され、日本、米国をはじめとした各国で麻黄含有のダイエット薬は販売が禁止されている。ガラナはムクロジ科の植物で、カフェインに似た成分を多く含む。ブラジルをはじめとした南米で多く利用される飲料の原材料で、カフェインよりも緩やかで持続性がある興奮作用が得られるため、健康食品としての利用が増加している。人への安全性(安全摂取量)は確定しておらず、摂取量が多い場合、ときに習慣性や依存性が現れることがあるとされる。
米国疾病管理予防センターの調査では、若者の20%はエナジードリンクが安全であると考えており、13%はエナジードリンクがスポーツドリンクの一種であると考えているという結果が出ている。Litchfield准教授は、エナジードリンクの健康上のリスクが過小評価されている可能性を懸念し、ドリンク摂取について、学校での新しいルール作りを提案している。
低迷する各国の飲料業界で、救世主となっている「エナジードリンク」。飲料の分類は各国さまざまだが、エナジードリンクについては規制が追いついていないのが現状。日本では清涼飲料水(炭酸飲料)として販売されているものが大半を占める。日本の飲料は、「医薬品」「医薬部外品」「清涼飲料水」の3つに分類、販売されており、健康増進・維持などの効果を表示する場合には薬事法によって制約を受けている。2013年10月には、フランスでエナジードリンクへの課税法案が採択されており、今後、それに続く国が出るかもしれない。