化粧品・化粧原料各社、ハラール取得とイスラム進出に”二の足”(上)  

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2014.06.19

編集部

イスラム市場が新たな化粧品市場として注目されている。現在、イスラム圏に属する国は、インドネシア、マレーシア、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなど57の国と地域で人口は、世界人口の4分の1、約20億人にのぼる。しかし、イスラム圏は、総体的に巨大な化粧品市場として未だに手つかずに近い状況にある。化粧品メーカーは、イスラム市場に進出して化粧品を販売する場合、イスラム政府及び各国の政府認証機関からハラール認証を取得して化粧品の容器、包装にロゴマークを貼布しなければ販売できない。現在、国内の化粧品、原料メーカー、商社などは、ハラール認証を取得してまで進出することに“二の足を踏む〟状況にある。

イスラム圏において化粧品や食品などを対象としたハラール認証とは、イスラム教典に諮って化粧品の成分に含まれるブタ由来のプラセンタや脂肪酸、ゼラチン、アルコールなどが含まれている化粧品は、イスラム市場で販売できない。また、ハラール認証に伴う検査対象も化粧品原料、成分、添加剤、パッケージ形態、製造法、物流に至るまで幅広い実地検査が適用対象となっている。審査期間は、イスラム諸国によって違いがあり申請して書類審査、工場、商品の監査を含めて平均約1年。

現在、イスラム圏のハラール認証の代表的な政府機関は、マレーシアイスラム開発局、インドネシア・ウラマ評議会、シンガポールイスラム評議会、アラブ首長国連邦基準化計測庁などがある。また、各国政府の公認を受けた日本国内の認証団体は、宗教法人日本ムスリム協会やNPO法人日本ハラ―ル協会などがあり認証を受けることができる。ハラール認証を取得すればどこのイスラム圏でも化粧品の輸出・販売が可能となる。

ハラール認証の代表的な政府機関であるマレーシア政府イスラム開発局は、独自のハラル認証制度を運用して国際標準化を図っている。マレーシアをハラール市場の入り口と位置付けて海外から投資を呼び込む狙い。

現在、同イスラム開発局が認定した海外のハラール認証機関は、28ヵ国・地域の53機関。オーストラリアが最も多く11機関にのぼる。ここへきて同開発局は、ノンハラールの成分が含まれていたというケースが増加したことからハラール表示令(ハラール認証とマーク付与)を厳格化した。マレーシア政府認証機関以外の団体が認証した場合、マレーシア国内への輸出・販売を禁止。また、海外のマレーシア政府認証機関の名称を商品や物品に記載することを義務付けた。違反すればペナルティが課せられる。

イスラム圏でのハラ―ル認証は、農産品、食品、加工食品、サプリメントなどに加えて化粧品、医薬品など対象が広範囲に及ぶ。今のところ食品中心にハラール認証が展開されているが化粧品もハラル認証と無縁ではない。が、余りにもグローバル化が加速する中で、国内化粧品各社のハラール認証取得に向けた動きやイスラム圏進出の足取りは重い。

参考リンク
NPO法人日本ハラ―ル協会

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