帝人開発の新素材「ナノフロント」、化粧品メーカー採用へ
2014.09.5
編集部
帝人株式会社が開発した超極細繊維「ナノフロント」を化粧品メーカーがフェイスマスク(シート状美容液)の商品化に採用するなど需要増加に期待が高まっている。
同社が開発した新素材「ナノフロント」(写真)は、単繊維の直径が700ナノメートルの超極細長繊維。「滑りにくい」「肌にやさしい」「熱放出性によるクーリング効果」などの機能性を持ち化粧品から衣料用、産業用まで幅広い用途がある。
特に、同社はナノフロントのソフトな風合い、 肌摩擦ダメージが小さいなど肌に優しい特徴を生かしてフェイスマスクに応用するため、化粧品メーカーと共同で緩んだフェイスラインをキャッチして引き上げるクロス型のマスクを考案。同時に、美容成分を含む吸水性と美容成分を肌へ押し込む放出性の両立を実現するなどして商品化を実現した。また、皮膚科などの医療機関を対象に販売展開している化粧品メーカーのフェイスマスク商品化にもナノフロントが採用されるなど、化粧品領域でのナノフロントの実需を実現している。
ナノフロントは帝人ファイバー株式会社が開発したもので、2012年10月に帝人ファイバー株式会社とNI帝人商事株式会社を統合して設立した現在の帝人フロンティア株式会社が事業展開している。
これまで、ナノサイズの繊維は、開発はできても量産に際して強度が低下し、繊維長の短いものしかできないなどフィラメント(長繊維)での商品化は実現できなかった。
そこで同社は海島断面の紡糸技術を新たに開発し、量産化対応が可能な高強度ポリエステルナノファイバー(長繊維)「ナノフロント」の実用化に繋げた。
ナノフロントを生み出した主な技術的要因として(1)マイクロオーダーの繊維断面の中に、ナノオーダーに精密制御された規則構造を作り出すことを可能にしたポリマー技術・精密成形技術 (2)2次元・3次元の構造体形成を可能にする加工技術 (3)ナノサイズ効果を具体的なニーズに立脚して消費者にメリットを訴求する商品開発技術の3つの技術開発を行なって新素材のナノフロントを開発した。2008年7月からナノフロントの商業生産を開始した。以降、化粧品の用途開発を進め、ここへきて化粧品メーカーからナノフロントが採用されているもの。
表面の平滑性を活かし、皮脂や化粧もきれいに落とせる洗顔クロスなども開発して市場展開を進めており、今後、化粧品領域での需要増加に期待がかかる。
- 参考リンク
- 帝人株式会社