この言葉を抜きにしてエステティックは語れない!「アンチエイジング」の“今”を知る

最新商品

2010.07.10

編集部

アンチエイジングのメカニズムとはby 医学博士 大山康明
MechanismofAntiAging byYasuaki Oyama

いつまでも若々しく、いきいきと年齢を重ねたい――。女性なら誰もが抱く、切実な願い。「アンチエイジング」という言葉は、ここ10年ほどでさまざまなメディアに取り上げられ、いまや日本中の人々が使う言葉になっている。近頃では実年齢からまったくかけ離れた美貌とオーラを兼ね備えた女性たちも増えているが、たしかに、どんなに歳を重ねても若さと美しさを保っている人の姿は、とても輝いて見えるものだ。今号の巻頭特集には、「アンチエイジング」をキーワードに開発された、話題のアイテムが登場。まずはアンチエイジング研究のエキスパートとしても知られる医学博士 大山康明氏に、「アンチエイジングとは何か?」を、改めて指南していただく。
まとめ 石川名月

アンチエイジングとは、加齢による心身の衰えを防ぎ、健康長寿を目指す医学で、日本語では「抗老化」、「抗加齢」と呼ばれています。一般的に、「スキンケア」や「医学的治療」により皮膚そのものをケアする外部的なケアと、「サプリメント」」や「ホルモン補充療法」、「食生活や運動など生活習慣の改善」を通じて、体の内側からケアするものとがあります。
すべての生物にはそれぞれに生命ポテンシャルエネルギーがあり、これを使い果たした時が、寿命です。抗老化は、この生命ポテンシャルエネルギーの自然消費を如何に緩やかにして、長く維持し続けるか、ということに言い換えることができます。例えば、ヒトの体は、定期的に細胞が分裂・再生し、古い細胞を新しい細胞と入れ替えています。その回数は有限で、皮膚を構成する線維芽細胞の場合は、約50回と言われております。この50回のポテンシャルを増やすことは神しかなせない技ですが、その入れ替える速度を長くすることが出来れば、細胞や組織の衰退を遅らせることになり、「アンチエイジング」に繋がる訳です。
「アンチエイジング」のキーポイントは、生命ポテンシャルエネルギーの自然消費を早める老化因子を出来るだけ作らず、速やかに取り除くことです。代表的老化因子としては、「活性酸素」がよく知られています。活性酸素を生み出す身近なものとしては、「光」や「食物」です。
みなさんもよくご存じのように、私たちの肌は、紫外線をわずか数分間浴びただけでも、ダメージを受けます。しかも、紫外線を長年浴びつづけることで、シミ、シワ、たるみなどを引き起こしやすくなりますね。これを「光老化」といい、紫外線は肌の組織を攻撃して、細胞を変質したり、DNAを傷つけたりします。顔と比較して、腿の内側やお尻など、ほとんど紫外線に当らない部分は弾力があってきめも細かいでしょう。それは、紫外線を浴びやすい顔よりも肌のポテンシャルエネルギーが維持されているからです。
また、私達は酸素がなければ生きていくことができません。しかし酸素は鉄をさびつかせたりするのと同じように人間の体内でも酸化という働きを起こします。その原因となるのが「活性酸素」と呼ばれるものです。活性酸素は体内に取り込まれた炭水化物、脂質が酸素により燃やされ、エネルギーになる時に発生。活性酸素は体内のたんぱく質や、脂肪、核酸などを攻撃し、老化の原因となります。
光老化の進行を食い止めるには、紫外線対策やアフターケアが最も重要になってきますが、活性酸素の発生は、食物の摂取によって抑えることができます。活性酸素の発生を抑える成分として、「ビタミンE」、「ビタミンC」、「β-カロテン」の3つが挙げられます。ビタミンEは、脂質の酸化、たんぱく質の変性に対する防御。多く含まれている食品は、南瓜、ほうれん草、アーモンドなどです。また、ビタミンCは、血液中にある抗酸化物質では最も早く反応し、活性酸素を除去します。多く含まれている食品は、ブロッコリー、トマト、レモン、みかん、ピーマンなどです。そしてβ-カロテンは、知らない方も多いとは思いますが、体の中でビタミンAに変化するので、ビタミンAが含まれた食物と同じといえます。多く含まれている食品は人参、南瓜、ほうれん草、春菊など。
このことからも、アンチエイジングにもっとも大切なのは生活習慣であり、老化の進行を食い止めるには食生活の改善が必要だといえます。近年、化学物質でなく天然の植物を原料としたアンチエイジングコスメなどが多くなってきているのも、上記の成分が植物から得られることも理由の一つでしょう。これらのことを参考に、アンチエイジングについて改めて見直し、お客様へのアンチエイジングケアを再考されてみてはいかがでしょうか。

 

Profile


医学博士 大山康明氏
神戸大学大学院医学研究科皮膚科学専攻。基礎皮膚科学研究及び美容科学の専門家。科学的根拠を持った美白剤開発のパイオニアとして有名。HGF、FGFなどの成長ホルモンの利用特許を多数出願するなどアンチエイジング研究でも活躍中。

#

↑