肥満にも「遺伝子治療」の可能性

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2014.11.4

国際部

シンガポール国立大学は肥満遺伝子に効果がある薬剤開発についての研究成果を10月20日、同校サイトで発表した。

肥満になりやすいかどうかを調べる遺伝子検査が手軽に行われるようになった。一方で、特定の遺伝子を標的にして行われる「分子標的治療」は、肥満治療では確立しておらず、主にがん治療の分野で発展している。今回、シンガポール国立大学の研究チームが、脂肪量と肥満に関連する「FTO」と呼ばれる遺伝子を標的とした阻害剤を特定した。これらのFTO選択的阻害剤は、遺伝的視点から初めて、肥満治療薬や治療法の開発への道を開くものとして期待されている。研究の詳細は10月22日、「the journal Chemical Science」オンライン版に掲載された。

肥満は美的問題のみならず、糖尿病や心臓病を誘発する。現在では世界的な問題となっており、2030年までに世界人口の約58%が肥満になるという試算も出ている。肥満対策は緊急な必要性があるにも関わらず、安全で効果的な治療法はなく、対策は健康的な生活習慣や食事などの個人の努力にかかっている。

FTO遺伝子は2010年に遺伝子構造が解析されており、FTOに異常がある人は、ない人に比べて70%以上も肥満になりやすいという。今回発見された阻害剤は、新規のDynamic Combinatorial Mass-Spectrometryと呼ばれる創薬戦略によって発見された。これらの研究により肥満のオーダーメイド医療が行われる日も近いかもしれない。

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