地中海式ダイエットに腎臓を守る効果
2014.11.5
国際部
地中海式ダイエット(このダイエットは、減量食の意味ではなく食事内容を指す)に腎臓保護効果の可能性を示した研究成果が10月30日、米国腎臓学会(American Society of Nephrology)から発表された。
慢性腎疾患は年齢とともに発症者が増加する傾向にあり、尿たんぱくの異常により診断されることが多い疾患。腎機能の低下により心臓病を合併する可能性が高いことと、透析予備群の患者として注意を要するとされている。これまでのところ地中海式食事は「とりわけ、心血管疾患、アルツハイマー、糖尿病、がんに関する健康アウトカムと良好な関連性が明らかになっている」と研究者の一人Khatri博士は述べており、今回は、食事内容の改善で慢性腎疾患が抑制されるかを研究した。
地中海式食事は、野菜と魚を中心に油脂はオリーブオイルで摂るというもの。ギリシアや南イタリアの伝統的な食事として注目され、その健康への効果は検証中といったところ。心疾患の抑制効果や血圧への影響、減量効果などさまざまな方面からの研究・試験が実施されている。
今回の研究は、地中海式食事の長期的な影響を900人の参加者について約7年の観察研究で検討した。その結果、あらかじめ定めた地中海式食事スコアが1ポイント上がると、慢性腎臓病の発症が17%低下した。また、地中海式ダイエットによく似た食事内容では、慢性腎臓病発症リスクは半分まで低下した。しかし、良好な結果のためには地中海式食事だけでは足らず、定期的な運動を組み込む必要があるという。