人種によって酒の適量は違う
2015.04.30
国際部
人種によって酒の適量が違うという研究が4月23日、ハーバード公衆衛生大学院から発表された。詳細は「American Journal of Public Health」に掲載されている。
「現在の食事ガイドラインでは、大人の適度なアルコール消費は推奨されている。しかし、今回の研究によれば、人種や民族性に基づいたガイドライン変更が必要かもしれない」と同大学院研究員のChandra Jackson氏は述べた。
以前の研究では、適度なアルコール消費は糖尿病、心臓病の発生抑制と死亡リスクを下げているが、これは主に白人を対象にした調査だった。今回、2万5811人の黒人と12万6369人の白人を対象に、1997-2002年の国民健康インタビューのデータから検討した結果、黒人ではアルコール消費に白人と同様の効果が見られないということが分かった。
具体的には、白人男性なら週3-7日の頻度で1-2杯の飲酒、黒人男性ならまったく飲酒なしの人で死亡率が最も低かった。白人女性では週3-7日の頻度で1杯の飲酒、黒人女性なら週2-3日の頻度で1杯の飲酒で死亡率が最も低かった。
なお、日本人を含むモンゴロイド(黄色人種)では、お酒に強い人は約半数。残りの半数は体内でのアルコール分解産物アセトアルデヒドを分解する酵素ALDH2の活性が弱く、いわゆる「アルコールに弱い」ということが分かっている。遺伝子DD型と言われる活性が全くない、「アルコールに全く弱い」タイプは日本人の約4%。ND型と言われる活性が6分の1ほどしかない、「アルコールに弱い」タイプは約40%。一方、NN型と呼ばれる活性が強く、「アルコールに強い人」は日本人の約56%に対し、黒人、白人では100%とも言われている。外国人や別の人種の人たちと酒を飲む機会があるならば、日本人の半分は遺伝的にお酒に弱いということは知っておいた方がよさそうだ。