資生堂、メガブランドの確立図る、国内外子会社の株式売却も

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2015.07.9

編集部

資生堂本社ビル資生堂(写真)は、中長期経営戦略に基づいて子会社などを中心に展開しているポートフォリオ(金融資産の組合せ)上で重なり合う100を超えるブランドやニーズの低いブランドなどをメガブランド構想に基づいて整理統合(再編)する。

同社は、昨年末に策定した2015年度から2020年度までの中長期戦略に基づく最初の3カ年経営計画(2015年度から2017年度の3ヵ年計画)を「事業基盤再構築の期間」と位置づけ連結売上高1兆円超、連結営業利益1000億円超、ROE12%以上の数値目標を打ち出した。

この3ヵ年計画を達成するための施策として骨太のブランド育成を推進する。ブランド改廃ルールの明確化を行うなどしてブランドのライフサイクルマネジメントを徹底し、一定の売上規模と収益性をクリアし続けるメガブランドを集中的に育成する。

この骨太ブランド育成の方針に沿って今度、販売子会社アユーララボラトリーズ(東京都港区)の全株式を調剤薬局大手のアインファーマシ―ズ(札幌市)に売却した。買収額は非公開。8月末にもアインファーマシ―ズは、アユーララボラトリーズを子会社化する。

資生堂は、すでに、仏の子会社で、プロフェッショナルチャネル(サロン)と小売店などにスキンケア製品や施術サービスを行っていた子会社カリタとデクレオール2社を株式ロレアルに売却しており今後、国内外にわたってブランド事業の再構築をさらに進める方針。

一方、これまでのブランドではカバーしきれない顧客ニーズに応えるため、2015年度からブランド軸と地域軸のマトリクス新組織体制へ移行するなど経営の効率化を図った。

具体的には、顧客とのタイプ別にプレステージ、コスメティクス、パーソナルケア、プロフェッショナルなどのブランド事業に区分。さらに、全世界の地域・市場を日本、中国、アジア、米州、欧州、トラベルリテールのエリアに区分した上で、それぞれの領域で最大のパフォーマンスを発揮できる「地域本社制」を導入した。地域本社制は、地域のニーズや事業環境に密着し、事業活動の全てについて責任と権限を持つ。

これまでは、本社と販売会社に分かれて存在していた研究開発、商品開発、マーケティング、営業の機能を地域本社に集約化したことで、事業の効率化と収益の向上を図る狙い。

それにしても100を超えるブランドは多すぎた。高度成長期に確立した多ブランドの名残を強く印象付ける。引き続き、国内外の地域本社制に立脚して強く太いメガブランドをいかに育成し擁立していくか、子会社の統合再編・再構築と合わせて今後の取り組みが注目される。

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