日局改正で新たに5漢方処方などを追加へ
2015.07.21
編集部
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センター(茨城県つくば市)主催の「薬用植物フォーラム2015」が14日、つくば国際会議場(同)で開催され、来年4月に改定が予定されている日本薬局方(日局)の改正内容について報告された。
今回の第17改正では、新たに36品目が収載される予定となっている。内訳は、漢方製剤が加味帰脾湯、桃核承気湯、防已黄耆湯、防風通聖散、抑肝散の5種類で、生薬がシンギ、タンジン、トウジン、ボウショウ、無水ボウショウの5種類。また、生薬製剤については、化学薬品の方から移行する品目が多く、本来生薬製剤の中に入らないものもいくつかあるが、化学薬品にラテン名がついているため移行して、合計26種類増えた。
漢方製剤の収載が開始された第15改正当初、「まずは30処方の収載を目指していたが、(第17改正で合計33処方と)目標に達した。次の目標は50処方」(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部長 袴塚高志氏)とした。
また、安全性に関する純度試験については、イレイセン、カンキョウ、サイシン、ゼンコ、ドクカツ、モッコウが重金属試験に新たに設定された。さらに、個別の処方にも重金属試験を追加。黄連解毒湯と柴胡桂枝湯は鉛を、小青竜湯はカドミウムをそれぞれ検査する。「すべての生薬を個別に検査するのは難しいので、まずは危ないものからきちんと対応していくことが大切」(袴塚氏)として対象を絞り込んだ。
定量法の改正では、カンゾウが大きなトピックスとして挙げられた。「カンゾウは全体の7割の処方に入っているので、かなり広範囲に影響が出る」(袴塚氏)ため。具体的には、カンゾウの乾燥物換算を再検討した結果、グリチルリチン酸の含量は理論上、2.27%が妥当だとわかり、グリチルリチン酸の含量規定を従来の2.5%以上から2.0%以上とする。
「今回はカンゾウ、カンゾウ末、シャカンゾウのみを改正する。今後はカンゾウエキス、カンゾウ粗エキス、それを配合する漢方処方エキスを順次改正していくことになる」(袴塚氏)とした。
このほか、同フォーラムでは、「新技術による薬用植物の生産とその評価」「薬用植物の病害と病原微生物」「愛媛県における薬用植物栽培の現状について」「薬用植物資源の抗C型肝炎ウイルス活性」「富山県における薬用作物の栽培振興について」と題した講演が行なわれた。