MIT科学者、代替スキンになり得るポリマー新材料開発
2016.05.19
国際部
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、一時的に皮膚を伸ばしたり、しわを滑らかにするのに使用できる新しい素材を開発したと、5月9日、同大学のオンラインサイトで発表した。新素材はシリコーン系ポリマーで構成され、皮膚に薄く塗布するだけで健康で若々しい皮膚の弾力性を与え、水溶性を高める効果があるらしい。
MIT化学工学・学部准教授の Daniel Anderson氏とバイオベンチャーのLiving Proof社、Olivo Labs社の研究チームが共同で開発したこの素材についての論文は、オンライン版 Nature Materials(5月9日付)に掲載された。
新素材は、2種類のマテリアルを組み合わせて成立する。最初にクリーム状のポリシロキサン成分を肌に薄く塗る。その上に白金触媒を塗るとXPL(cross-linking layer)と呼ばれる架橋性高分子層に変化して皮膚の上でほぼ見えなくなる。
研究グループは、ヒトでの安全性と有効性をテストした。加齢などにより目の下に形成される“目袋”に適用すると、皮膚を強化し突起をなくす効果が約24時間持続した。保湿効果についてのテストでは、新素材を塗布した皮膚は、市販されているハイエンドの保湿クリームを塗った皮膚よりも、水分の損失がはるかに少なかったという。“皮膚の代替”として美容医療への応用や皮膚疾患への治療が期待される。
- 参考リンク
- MIT News.com