漢方産業化に向け「漢方」のイメージを変えていく必要も

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2016.12.15

編集部

%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%b9%e3%82%ab%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3一般社団法人 漢方産業化推進研究会(代表理事・渡辺賢治氏)主催の平成28年度漢方セミナー「漢方産業化に向けて企業はどう取り組むか」が14日、東京都内で開催され、漢方産業化に向けては「漢方」という言葉から連想されるイメージを変えていく必要があるとの意見で一致した。

冒頭、渡辺氏が「国際展開を見据えた漢方産業化」と題して講演。漢方産業化に際して乗り越えるべき課題として、「もっと身近な存在として国民の支持を得る」「せっかく栽培しても薬用作物が売れない」「国際的プレゼンスが全くない」ことを挙げた。

中でも国民から「もっと身近な存在として」感じてもらうためには、漢方のイメージを変えることが必要だと指摘。狭義の漢方は薬物療法であるが、広義には鍼灸や養生も含まれることを説明した。

漢方では、病気に至る原因として「三因方」という考え方がある。つまり、精神状態が身体に影響を与える「内因」、外界からの刺激が身体に影響を及ぼす「外因」、飲食の不摂生・過労・運動不足などが影響する「不内外因」の3つで、これらを予防することも養生の思想に含まれている。

続いて、「未病のための漢方薬と機能性食品」について講演した昭和薬科大学 漢方治療学教育研究室 研究員の佐竹元吉氏は、「漢方薬の欧米への輸出は、大建中湯エキスのFDA(アメリカ食品医薬品局)での許可にかかっている」との認識を示した。また、機能性食品の普及拡大により、薬用植物の利用分野や方法の拡大に期待を込めた。

株式会社ブルックスホールディングス(神奈川県)代表取締役社長の小川裕子氏は、同県大井町に建設中の「未病いやしの里センター(仮称)」に関する取り組みについて講演。「学ぶ」「食べる」「遊ぶ」をテーマに、全体を5つのゾーンに分けて建設していく考えを示した。2019年春には第一期オープンを予定。「薬に頼らない日常で取り組める未病対策を世界に向けて発信していきたい」(小川氏)との意気込みを示した。

最後に行われた「パネルディスカッション~薬用作物に企業としてどう取り組むか」では、株式会社ボストンコンサルティンググループ シニアパートナーの御立尚資氏が、「大きな日本の文化体系の中で、なぜ漢方があるのかという視点で産業化を考えていく必要がある」と提起した。

また小川氏は、未病いやしの里センターに建設する薬膳カフェの名前について言及。「当初は漢方カフェという名前で考えたが、漢方というと病の症状に向き合いたくない」という心理が働き、楽しさがなくなるとして、産業化には漢方という言葉のイメージを変えていく必要性に触れた。

これらのほか、すべて食物で構成されている漢方薬の大建中湯を例に挙げ、日常にすでにある食材から漢方を身近に感じてもらうことが必要だとする声も挙がった。

参考リンク
一般社団法人 漢方産業化推進研究会

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