がんの化学療法に使用する薬剤に体重減少効果

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2017.01.23

国際部

がんの化学療法に使用される薬剤に減量効果があることが1月10日、「Oncotarget」オンライン版に掲載された。

減量を達成した肥満患者では、しばしば安静時の代謝にも長期の低下が見られる。これが結果的にリバウンドの原因ともなっている。今回のメイヨークリニックの医師らによる研究では、がんの化学療法を施行している病的肥満マウスに、高脂肪食の摂取を制限しなくても自発的な体重減少が観察された。薬剤にはメトトレキセート(MTX)またはシクロホスファミド(CY)を用いた。どちらもがん化学療法では一般的に使用される薬剤である。この体重減少効果はがんのない肥満マウスにおいても観察され、これら薬剤が完全かつ安全に体重を正常化させることが明らかとなった。

この体重の減少は、食物摂取の減少やエネルギー消費の増加によるものではなく、MTXまたはCYが、脂肪組織および前脂肪細胞前駆体の両方を有意に減少させていた。さらに注目すべきことに、高脂肪食の摂取を続けていても、肝細胞への脂質貯蔵の増加は見られず、むしろ減少傾向にあることがわかった。

遺伝子マイクロアレイによる分析では、MTXまたはCYが脂質生成および脂質蓄積を有意に阻害していること、および、Enho(エネルギー恒常性)遺伝子発現が有意にアップレギュレートされていることを明らかにした。ヒト肝細胞系を用いたさらなる代謝研究では、MTXが強力な酸化的リン酸化(酸素を取り込んで効率よくエネルギーを作り出す回路)を保存し、プロトンリークの急増に伴うミトコンドリア脱共役(フリーラジカルの発生を防ぐと考えられている)を促進することも明らかにした。

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