「季節と体質に寄り添う薬膳」で“自立健康人”を目指す

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2017.03.9

編集部

中国文化センター(東京都港区)・薬膳アカデミア(同新宿区)主催の「中華養生シリーズ講座 季節と体質に寄り添う薬膳」が8日、都内で開催され、講師として登壇した薬膳アカデミア ファウンダーの和田暁氏が、中医学の視点から各季節・体質に合わせた食物や薬膳レシピを紹介した。薬膳を実践することで、「自分で自分の健康を守る“自立健康人”を目指してほしい」(和田氏)と強調した。

冬については、冷え対策が重要となる。そこで、香辛料や温熱性の体を温める食物を摂取することを勧めた。具体的には、パプリカ、シナモン、紅茶、黒米、コーヒー、酢などを挙げた。

また、動物の冬眠に例えて、「人間もゆっくり栄養を蓄えなければならない」(和田氏)として、滋養強壮の食材を紹介した。具体的には、黒色で旨みのたっぷりある海の幸、ナマコ、すっぽん、牡蠣、ムール貝、昆布など。さらに「老化防止にはクルミが良い。骨、脳を強くする」(同氏)。

また、中医学的には冬は鹹味が良いとされるので、「貝柱などの魚介類でだしを取るとよい。寄せ鍋がお勧めだ」(和田氏)とした。

これから本格的な到来が待ち遠しい春については、「季節の変わり目で変化が速い」(和田氏)のが特徴で、風に乗って伝染しやすい花粉症やインフルエンザなどに気を付けなければならない。予防食材としてネギ、生姜、香菜、ミント、タンポポなどを挙げた。特に香菜は「香りが強いので、鼻づまりも解消できる」(同氏)。

また、春は「メンタルケアが必要な季節。ストレスがたまりやすく、血圧上昇などを招くほか、鬱にもなりやすい」(和田氏)。そこで、気を巡らせるミント、カモミール、柑橘類、春菊などを紹介。イライラも起きやすいので、「レモン、スダチ、ユズなど酸味のある食材でリラックスさせると良い」(同氏)。

水分が体に蓄積して体調を崩しやすい梅雨には、発酵食品など自然の甘味を持つ食材を選択することで、「胃腸や筋肉を強くする」(和田氏)のがポイント。夏は、スイカ、トマト、ナスなどの水っぽい食材で水分補給を心掛ける。併せて、「脳(心)を安静にさせて夜にぐっすり眠れるような食材を摂る」(同氏)ことが必要だとして、ナツメ、サクランボ、グランベリーなどの赤色食材を紹介した。

秋は呼吸気道と皮膚を潤すような百合根、白きくらげ、えのきのほか、空咳に対応できる大根、かぶ、白菜などを挙げた。

一方、人体は気血水で作られていることから、これらが過不足なく体の中をスムーズに流れ、全身を巡る健康状態を目指すことが大切。この気血水の過不足状態を“気虚、陽虚、気滞、血虚、陰虚、血瘀、津燥、痰湿”の8つに分類して、それぞれに合せた食材やレシピを紹介した。

このうち、例えば陰虚については、「骨の関節などにあるヒアルロン酸や、脳脊髄液など高濃度の液体が不足していると考える。果物で潤すには間に合わないので、コラーゲンの多いものや粘々の食材を摂る」(和田氏)ことで対応。具体的には、すっぽん、オクラ、山芋などを挙げた。

薬膳では青、赤、黄、白、黒の5色にそれぞれ相当する臓器がある。「5色の食材を毎日摂るようにすれば、五臓(肝、心、脾、肺、腎)全てに栄養が行き渡り、バランスがとれて健康を維持できる。内臓を喜ばせることが大切だ」(和田氏)とした。

参考リンク
中国文化センター
薬膳アカデミア

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