女性特有の症状は労働損失を招く、漢方薬で改善を

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2017.10.13

編集部

日本漢方生薬製剤協会(会長・加藤照和氏)主宰の第20回市民公開漢方セミナー「漢方で改善!! 働く女性の健康管理 女性特有症状にもう振り回されない!」が12日、都内で開催され、講師の麻布ミューズクリニック院長の玉田真由美氏は「冷えはさまざまな病気の原因になっている。冷え対策をしっかりしてほしい」と訴えた。

同セミナーでは、月経随伴症候群(月経前~月経中に起こる不快症状)や更年期症候群(閉経前後に起こる不快症状)といった女性特有の症状をテーマに取り上げ、こうした症状が「プレゼンティーイズムを引き起こし、日本の労働損失を招いている」(玉田氏)と分析。女性の社会昇進に大きな影響を及ぼしており、「私もキャリアを断念した経験がある一人」(同氏)という。プレゼンティーイズムは、出勤はしているものの、病気やケガによって、生産性が落ちいてる状態のこと。女性特有の症状による経済的負担は大きいことを強調した。

玉田氏は「すでに症状がある人もいつものことだからなどと諦めないでほしい。なぜ、その症状が改善しないのか生活習慣から見直すことが大切」と指摘。併せて「症状の強さには個人差があるので、必ずしも自己管理不足ではないことを知ってほしい」と訴えた。

女性特有の症状は、冷えと大きな関係がある。冷えは、婦人科系トラブルに限らず、頻尿などの泌尿器系、胃痛などの消化器系、肩こりなどの運動器系、頭痛などの神経系に影響するほか、帯状疱疹やアレルギー疾患の悪化などの免疫力低下など、さまざまなトラブルに発展してしまう。

女性が冷えやすいのは、自律神経の乱れ、女性ホルモンの変動、筋肉量が少ないといった身体的要因のほか、外気にふれやすい流行りのファッションにこだわったり、極端なダイエットなどが原因として挙げられる。こうしたことが熱の産生低下、熱の運搬力低下につながると指摘。「熱の産生低下は胃腸を冷やし、手足の冷えにつながる。熱運搬力の低下は自律神経系の乱れや筋肉量の減少につながり血流が悪くなりやすい」(玉田氏)。

そこで、食事面においては冷たいものを避けて常温以上のものを摂るようにすることを勧めた。「例えば同じ生姜でも、生のままでは冷え対策にならず、温めて食べるようにすると良い」(玉田氏)。ファッション面では、手首・足首・首筋など「“クビ”部分から熱が逃げるので、この部分を温めるようにする」(同氏)ようにして、逆にのぼせがある場合は直接熱い個所を冷やすのではなく、温度調節しやすい服装を選ぶように心がける。

こうした対策を行っても冷えが改善しない場合は漢方薬が有効。漢方治療では独自の診断法である四診などを駆使して、その人の症状・体質に合わせた処方を行う。また、同じ症状でも、原因や体質によって処方される漢方薬は異なるので、必ず医師の診断を受けることを勧めた。

例えば、脾胃の機能低下にかかわるものとして、便秘と下痢の繰り返し・お腹の冷え・お腹の張りに対しては大建中湯、冷えると下痢になる時は真武湯、食欲低下には人参湯、気力・体力低下には六君子湯などが処方される。なかでも「人参湯は唾液の多い人に適する」(玉田氏)。

血のめぐりの乱れは、女性特有の症状の原因として注意が必要。例えば、血が滞る瘀血による冷え・のぼせには桂枝茯苓丸、月経痛・自覚的腹満には加味逍遥散、肩こりやクマには当帰芍薬散、便秘・痔などには通導散や桃核承気湯、血が足りない血虚による抜け毛には温経湯、貧血・顔色不良には四物湯、皮膚のかさつきには十全大補湯などが使用される。このほか、水毒によるむくみに防已黄耆湯、めまい・浮遊感に真武湯などで対応することを紹介した。

ただし、必ずしも症状と一対一で漢方薬が決まるわけではない。その人の虚実や気血水などの状態を見極めた上での処方が必要であることから、「自己判断で漢方薬を購入すると副作用のリスクがあるので、医師の診察を受けてほしい」(玉田氏)と強調した。

参考リンク
日本漢方生薬製剤協会

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