「プラセンタエキス」活性メカニズムの解明につながる成分を発見

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2017.10.26

編集部

東京工科大学(学長・軽部征夫氏)応用生物学部の今村亨教授、伊藤航平修士課程学生、山田竜二修士課程学生、松本展希学部生らの研究グループはこのほど、化粧品原料に使われる「ブタプラセンタエキス」(PPE)の活性メカニズムの解明につながる成分の存在を発見したと発表した。

この研究成果は、2017年10月2日に米国の科学誌「Journal of Cosmetic Dermatology」電子早期版に掲載された。

研究では、シグナル分子群であるFGF(線維芽細胞増殖因子)ファミリーに対する主要な受容体の活性化を解析できる細胞を複数種類作成。これらに対してブタプラセンタエキスを加えると、増殖反応を通じて5種類(FGFR1c、FGFR2c、FGFR2b、FGFR3c、FGFR4)のFGF受容体について、活性化を示すことを発見した。

これらのFGF受容体が特異的に活性化されたことは、阻害物質によりプラセンタエキスの活性が阻害されたことで確認された。また、プラセンタエキスには「グリコサミノグリカン」という糖鎖が含まれており、化粧品原料の製造工程においてFGF活性を保護していることも示唆された。

これにより、プラセンタエキスにはFGF活性を発揮する物質が含まれており、さらにこの活性物質は、高分子量と低分子量の両方の分子量範囲に含まれていることが明らかになった。

組換えタンパク質として生産されている天然型FGF医薬品は、皮膚潰瘍や粘膜炎の治療、再生医療や美容皮膚科などの分野でその有効性が実証されている。化粧品原料としてのプラセンタエキスの有効性も、その一部はFGF活性によるものであることが今回の研究を通じて示唆された。プラセンタエキスの新規活性成分が明らかになったことで、新たな機能性化粧品の創成が期待されるとしている。

プラセンタエキスは、化粧品やサプリメント、医薬品などに広く使われているが、その活性発揮のメカニズムについては不明な点が多く残されていた。化粧品原料には、主にブタから調製したものが使われているが、製造工程でタンパク質の酵素分解や加熱という過酷な処理を施されており、細胞の増殖分化や機能を制御する活性をもったシグナル分子が含まれていることを示した例はない。

そこで今回の研究では、プラセンタエキスの有効性を明らかにするため、シグナル分子の一群である、FGFファミリーの活性という観点から、検証を行った。

今村教授は毛髪成長を制御する仕組みの研究なども行っている。これまでの研究成果の中で、化粧品として製品化しているものとして「FGF5阻害メカニズムを利用した育毛剤」があり、株式会社アドバンジェン(千葉県柏市)が販売を行っている。

参考リンク
東京工科大学

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