漢方はストレスに伴う不調を改善できる

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2018.01.31

編集部

第3回Kampo Academiaプレスセミナーが30日、都内で開催され、麻布ミューズクリニック院長の玉田真由美氏が「ストレスに伴う不調と漢方治療」と題して講演した。玉田氏は「(検査で異常のない)不快な症状で悩んでいたら放置しないでほしい。必ず治療法は見つかる。漢方はその一つだ」と訴えた。

厚生労働省の調査によると、悩みやストレスを抱えている人の割合は50%弱を占め、30~50代の働き盛りに多い。特に女性の場合、月経・妊娠・出産など女性特有の変化があるほか、依然として存在する性別役割分業などが原因でストレスを抱えやすいとされる。

ストレスにより引き起こされる症状は様々だが、例えば食欲低下、不安・イライラ、不眠、動悸、歯ぎしりなど検査で測ることができない不調は放置しがち。玉田氏によると、「ちょっとした不調だから」として放置が続くと、「あら?いつまでたっても症状が改善しない」ということに気づき、「病院に行った方がいいのかしら?」と心配・不安になってくるという。

「心配・不安になって初めて自分の症状に目を向ける人が多い」(玉田氏)ものの、病院に相談してもいいのかどうかわからず、「何科を受診すればよいかわからない」あるいは「受診したけど医師から大して問題ではないと言われた」ことで再び放置。しかし、依然として症状が改善しないため、また心配・不安に陥る。そこで初めて「自分の症状を真剣に考えるようになる」(同氏)という。

こうした症状の多くは、「検査では異常がない」「対症療法を受けても効果は一時的」「医師から治療の必要はないと言われた」というケースで、新たなストレスに発展する。そのような時、「漢方治療という手がある。どうせ治らないだろうと諦めないでほしい」(玉田氏)と強調した。

漢方治療では、同じ症状でも、原因や体質によって処方される漢方薬は異なる。「自己判断で漢方薬を選ぶことはお勧めしない。必ず医師の診断を受けてほしい」(玉田氏)と訴えた。西洋医学では、原因疾患がない場合、ただただ症状に対する治療を行うか、あるいは経過観察のみだが、漢方医学では、体のどのバランスが崩れているのかを突き止めて、根本治療を行う。症状だけの治療に留まらず「人」を診るのが特徴だ。

漢方医学では、「気血水」「虚実寒熱」など独特の理論を駆使して、患者の現在の病態を「証」という形で導き出し、その「証」に合わせた漢方薬を処方する。治療に当たっては、特に「胃腸を重要視している。漢方薬によっては構成生薬の中に胃腸に障りやすいものもあるので、まずは胃腸を整えることから始める。その後は、色々な処方が使用できる」(玉田氏)。胃腸機能の低下を改善する処方としては、例えば大建中湯、人参湯、四君子湯、六君子湯などがある。

「気血水」のバランスの乱れを改善する処方は多数ある。講演では頭痛、情緒不安、不眠、めまい、デリケートゾーンの不快感、便秘、体のあちこちが痛い、慢性的な蕁麻疹など具体的な不調に対して処方できる漢方薬を複数紹介。ただし、「実際に診察を受けると全く異なる薬を処方される場合も多々ある」(玉田氏)ものの、それは漢方独自の診察方法である「四診」を通じて決定される「証」に合わせるため。

そのため「自己判断で漢方薬を購入せず、医師の診察を受けてほしい。自己判断だと副作用などのリスクもある」(玉田氏)と強調した。

さらに、日常の生活習慣の大切さにも言及。ストレスを軽減させるため、自分に合った解消法を探すことが大切で「五感で楽しめることを採り入れると良い。また、飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動し過ぎなど、どんなことでもやり過ぎは禁物」(玉田氏)とアドバイスした。

参考リンク
麻布ミューズクリニック

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