ヘッドスパ開発の経緯とヘッドスパ検定
2012.11.28
編集部
当初は理・美容師の利用を想定
ヘッドスパの普及に努める「日本ヘッドスパ協会(JHSA)」は2006年に設立された。その経緯としては、エステティック粧材などの開発を行う株式会社ナボカルコスメティックスが、エステティックの有効性を高めるため頭部ケアの重要性に注目したのがきっかけだという。その後自社でヘッドスパ粧材を開発し、ヘッドスパの普及を目指すため日本ヘッドスパ協会を設立。ナボカルコスメティックスの系列会社・株式会社フォーシーズンが事務局となっている。
設立当初は美容師・理容師によるヘッドスパの施術を想定していたようだ。日本ヘッドスパ協会の技術顧問を務める石橋清英氏は「理・美容業界ではこれまで、造形美にこだわり、その価値ばかり追求してきたと感じています。そのため、産業として成長余地がなくなってしまっていた。業界のさらなる成長を促すためには、ヘッドスパという新たなアイテムが必要でした」と振り返る。
ヘッドスパの定義とは?
設立当時、ヘッドスパへの認知はほとんどなかった。しかし、頭部のリラックス効果やリフレッシュ感などがアピールされ、徐々に人気が高まっていったという。しかし石橋氏は「現在は“ヘッドスパ”の名前だけが先行している印象」と指摘し、例えば、頭皮の疲労を取り除いてリンパや血行の流れを良くして全身の健康と美を実現できるということや、皮膚がもつバリア機能を高めるというヘッドスパの効果も、もっと一般の消費者にも浸透させていきたいと語る。
日本ヘッドスパ協会では。ヘッドスパについて、ダメージ毛の修復はもちろん、健常毛が損傷を受けないヘアケアをすること、肌のバリアを取り過ぎないスカルプケアであること、頭部のマッサージを充分に行い、健康な頭皮と毛髪の育成を促すというすべての技術に、「癒し」を取り入れること、と定義をしている。
だが、これに該当しない“ヘッドスパ”も多い。日本ヘッドスパ協会では現状をどうみているのだろうか。
利用者の満足度を維持することが不可欠
現在は実に多様なヘッドスパが市場に溢れている。日本ヘッドスパ協会の定義するヘッドスパに該当しないものも多い。しかし日本ヘッドスパ協会の技術顧問を務める石橋清英氏は、「現在はヘッドスパの草創期ともいえる時期であり、いろいろな“ヘッドスパ”があってもいいのではないでしょうか。ただし、利用した方の満足度が50%以上にならないと、ヘッドスパが産業として成り立たなくなってしまう。お客さまに“1回受けたけれど、もういいわ”と言われるものは提供すべきではないと考えています」と指摘する。
日本ヘッドスパ協会では2011年より検定試験制度を設けており、専門学校生向けの3級(現在は未実施)と2級を設定している。カリキュラムでは理論を学んだのち、10時間以上の練習と自主練習を行う。試験では認定講師が被験者となり、受験者の施術を受けて合否判定をするものだ。
ヘッドスパ検定受験者は東京エリアにとどまる
しかし、現在は認定講師や試験の実施回数が少ないこともあり、2級保持者は50人程度に留まっている。また、受験者も東京エリアが中心。今後は関西などでも試験を行う予定というが、日本ヘッドスパ協会の資格を有するセラピストが全国に広まるまでは、まだ時間がかかりそうだ。
石橋氏の指摘通り、ヘッドスパはまだ草創期であり、さまざまなサロンがそれぞれの“ヘッドスパ”を提供している状況である。今後は、利用者が本当に満足した技術や粧材だけが残っていくのではないだろうか。そして、利用客の満足度を高めるためにも、検定試験制度普及が待たれるところだ。
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<取材協力>
日本ヘッドスパ協会(JHSA)