コーセー、iPS細胞から誘導した皮膚線維芽細胞の機能回復を発見

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2018.05.31

編集部

株式会社コーセー(東京都中央区)は30日、iPS細胞から皮膚線維芽細胞への分化誘導法を確立するとともに、誘導した細胞のテロメア長が元の細胞よりも伸長することを明らかにしたと発表した。さらに、細胞内のエネルギー産生を司る「ミトコンドリア」の質が、iPS細胞から誘導した皮膚線維芽細胞では、より高まることを初めて確認した。

元京都大学iPS細胞研究所 特任教授で、現コーセー研究顧問の加治和彦氏とともに、同一人物から長期(36~67歳)にわたり採取した皮膚線維芽細胞と、それらから作製したiPS細胞を解析・評価し、皮膚老化の研究に取り組んできたもので、今回の研究では、老化メカニズム解明のための新たなアプローチとして、iPS細胞から、皮膚線維芽細胞へ分化誘導することに成功した。

研究では、元となる皮膚線維芽細胞と作製したiPS細胞、再誘導した皮膚線維芽細胞のテロメア長を比較。テロメアは、加齢により短縮することがすでにわかっている。元となる皮膚線維芽細胞は、67歳時に採取したもので、iPS細胞にすると、テロメア長が伸長し、誘導した皮膚線維芽細胞も元の細胞よりテロメア長が伸長していることがわかった。

さらに、これらの細胞のミトコンドリア中に存在する活性酸素消去酵素のスーパーオキシドディスムターゼ(SOD2)量を測定。これまでに同社は、皮膚線維芽細胞内のSOD2の量は加齢に伴い減少することを明らかにしている。

細胞内のSOD2量を比較すると、誘導した細胞の方が、元の細胞と比べてSOD2の量が顕著に上昇していることが明らかとなった。このことから、加齢によって低下するミトコンドリアの質が、iPS細胞を経て再誘導する過程で回復することがわかった。SOD2の低下は、細胞が活性酸素によるダメージを受けやすい状態になっていることを意味している。すなわち、iPS細胞を経て再誘導された細胞では、活性酸素によるダメージに対応する能力が高いと考えられる。

今回の成果は、「第43回日本香粧品学会」(6月29日~30日開催)にて発表する予定だ。

参考リンク
株式会社コーセー

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