【連載】大手化粧品会社の研究(57)日華化学の会社研究 ~グロス染料(特許申請)配合のヘアカラーを美容室向けに販売~

2018.11.6

特集

編集部

日華化学は、2018年1月に従来のヘアカラー用染料と異なる新しい染料「グロス染料」を開発し特許を出願した。また、2018年9月にグロス染料を配合した新ヘアカラー剤「ルポリサージュ」を商品化し、美容サロン向けに販売を始めた。
特許申請のグロス染料は、髪へのダメージや頭皮への刺激がなく大幅にアレルギーリスクを低減。さらに美しい発色も実現するなど、既存染料の優れた特長を合わせ持つこれまでにない新染料。
特許出願の「グロス染料」は、酸化染料よりも分子が大きい二量体の染料(分子2個が結合してできた化合物)。また、髪の染色に使われる酸化染料のジアミンフリーでアレルギーリスクを大幅に低減。特に、グロス染料は、すでに発色している染料のため、過酸化水素を使う必要が無く酸化によるダメージレスでカラーリングが可能。さらに、くすみの原因となる色素を含まないため、彩度の高い発色を実現するなどの特徴がある。
基本的な使用法は、エッセンスを頭皮に直接塗布した後に、ティントとコントロールを「1対4」でミックスした薬剤を髪に塗布する。15~20分放置後、シャンプーしてトリートメント等で仕上げる。

同社は、この「グロス染料」を配合したヘアカラー「ルポリサージュ」(美容技術者専用=写真)を開発し、9月から美容サロン向けに販売をはじめている。
ルポリサージュのアイテムは、アルカリ成分フリーのカラーペースト22品目と過酸化水素フリーのケア剤。それに頭皮用前処理剤など24品目に上る。
グロス染料を配合した「ルポリサージュ」は、他の染料を配合したヘアカラーと比べてカラーリング後のつやと髪の質感の柔らかさ、滑らかさ等がアップすることが同社の摩擦測定や圧縮試験で明らかになっている。
毛髪のダメージを確認するため、たんぱく質の溶出量(図・たんぱく質溶出量を参照)を測定した。それによると、一般的なアルカリカラー染色毛の溶出量に比べてルポリサージュ染色毛のたんぱく質溶出量は、3分の1と未処理の毛髪とほぼ同じ数値が得られている。

同社は、2018年8月21日から9月30日の約1ヶ月間、ルポリサージュの商品説明会をおこなった。
同説明会に参加した美容師数は、全国で3228名に上るなど期待の大きさを物語る。新商品の理解と浸透力を図ることで、新商品の販売に繋げる狙い。

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