【連載】化粧特許と知的財産権④ホーユー、知財を武器に大手に対抗、模倣品に徹底抗戦も(上)
2019.05.27
編集部
ホーユー株式会社(愛知県名古屋市)は、ヘアカラーの国内シェア40%を占めるトップメーカー。明治38年に創業し、明治42年に液体式染毛剤「二羽からす」を発売して以降、一貫して白髪染めの開発、販売を手がけるなど日本のヘアカラーを牽引してきた。特に、クリームタイプのヘアカラーを得意とし「ビゲン」、「シエロ」はヘアカラーを代表するブランドとなった。
ヘアカラーの基本技術は、約130年前に生まれ、現在の技術もこれを応用する形をとっている。粉末、液体、クリームタイプ、泡タイプなど様々な剤形の開発とともに、競合となる大手化粧品メーカーと対抗するために周辺特許を取得、技術の集積と特許防衛により知的財産権の活用を図っている。
知的財産の取り組みとして同社は、早い段階から総合研究所内に知的財産の取り組みを行う知的財産管理部門を配置。研究開発段階から知的財産部門が参画して特許出願可能な特許を積極的に出願してきた。出願にあたっては、1つの新製品を生み出すごとに複数件の特許を出願する徹底ぶり。
現在、知財担当者は、約10名にのぼり年に1~2回、研究開発担当者に加えてマーケティング部門、国際部門などの担当者を対象に知財に関する研修を実施している。
同社は、グローバル化の流れと国内市場の変化を受けて近年、海外への販売を本格化している。現在、海外11個所に現地法人を設置して世界70ヵ国で製品を販売。特に、中国、タイを中心に販売に力を入れ、特許の出願を増やしている。また、創業100周年を機会にコーポレートロゴを一新し、新たな商標権を取得するなど新たブランド戦略に打って出ている。すでに100ヵ国以上に商標出願を行った。
海外での商標出願は、販売の可能性がある国で事前に出願しておくことで、海外進出の土台を整えておくこと。また、万が一模倣品が出回った場合、対応措置をとれる環境を備えておくことが狙い。
とはいえ、模倣品が出回り頭を抱える状況にある。海外での販売が増え、製品が売れれば売れるほど粗悪な模倣品が出回るようになった。
同社の正規品を扱う海外の販売小売店が正規品と同じ棚に模倣品を陳列して販売する有様だ。
そのため、同社は、ブランドイメージの保護と海外における売上げの低下及び粗悪な模倣品による消費者の健康被害を防止するため、積極的に模倣品対策に打って出ている。