【連載】化粧品・美容各社の業績と企業買収⑬化粧品・美容化各社の業績と企業買収 ~マンダム、ACG買収、マレーシア等アジアでの事業拡大狙う~

2019.11.13

特集

編集部

株式会社マンダム(大阪府大阪市)は、マレーシアの化粧品メーカー「ACGインターナショナル社」(クアラルンプール)を買収し、2019年1月に子会社化した。買収額は、50億円超に上る。
ACGインターナショナル社は2009年の設立で、年間売上高は、30億円程度。マレーシアを中心に東南アジア市場で10~20代女性を主体にメーキャップ商品を販売している。

マンダムはこれまで海外展開にあたって製造・販売拠点として現地法人(連結子会社)を設立して進出する形態をとってきた。現在、東南アジア諸国に製造・販売拠点としてインドネシア、シンガポール、中国、タイ、ベトナム、インドなどに連結子会社14社を設立し、事業展開している。このうち、マレーシアには、現地法人として1997年1月に合弁会社としてスタートしのちに子会社化した「マンダムSDN」を設立している。今度の買収により、マレーシアには、現地法人で、子会社が2社となる。現地法人は、それぞれ独立した経営単位であり、各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開している。

マンダムの2019年3月期の連結売上高は、前期比2.9%減の789億9700万円と減収となった。海外の主要市場であるインドネシアを中心に競争が激化したことや日本国内の女性向け化粧品が減少したことが響いた。
同期における日本国内と海外の売り上げは、日本国内484億4200万円(2018年3月期477億3900万円)と増収になった一方で、インドネシア市場が前期比13.1%減の170億4400万円と減収。また、海外その他も前期比3.7%減の135億1000万円(同140億3000万円)と減収となった。この結果、2019年3月期の海外売上比率は、これまでの40%から1ポイント程度減少し39%になった。
今度のマレーシアの企業買収は、人口3100万人、マレー系、中国系、インド系を主とした多民族国家のマレーシアをはじめとした東南アジアで、経営戦略の成長エンジンと位置付けながら事業拡大に一段と力を入れることで海外での売上げ増加に繋げる狙い。

同社は、2027年までに、海外売上比率を現在の41%から65%へ、大きく向上させていくという目標を掲げる。
現在、マレーシア市場は「ダックコスメティクス」や「ディダ」「オーキットコスメティックス」などの新興ブランドが急成長し、10代から20代の女性層に消費が浸透するなど化粧品市場を押し上げている状況にある。そうしたマレーシア市場で販売がどの程度、押し上げることができるか、買収の効果が注目されるところだ。

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