【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑮幹細胞培養液・化粧品成分として注目(上)

2020.04.2

特集

編集部

脂肪細胞の中にある幹細胞を取り出して培養した培養液「幹細胞培養液」が化粧品の成分として注目を集めている。

幹細胞は様々な細胞に分化できる能力を持つ。幹細胞を培養液中で培養している時にタンパク質を分泌させ、その効果を化粧品として活用できるようにしたものが幹細胞培養液だ。

ヒトの体の細胞は、自分と同じ細胞に分裂することはできるが、別の種類の細胞に変わることはできない。しかし、細胞の中には、別の細胞に変わることができるタイプがある。それが幹細胞である。特に、幹細胞は、自分が変わるだけでなく傷の修復をしている他の細胞に対して様々な指令を出す。
その指令は、成長因子と呼ばれるタンパク質やエクソソームと呼ばれるカプセルのような形で、幹細胞から他の細胞に送られる。それが目的の細胞の受容体(レセプター)に結合すると受けとった細胞は、傷の修復を活発に行うようになる。

「幹細胞培養液成分」は、幹細胞が分泌する多様な生理的活性を持つペプチドを精製した成分。ヒト脂肪由来幹細胞培養液には、成長因子やサイトカイン、インターロイキンやSOD等の酵素などの生理活性物質やコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外タンパク質成分が豊富に含まれる。シワ改善効果や美白効果、抗酸化作用、発毛・増毛効果等、様々な生理的活性効果が創出される。

ヒト幹細胞培養液を化粧品原料として使用する場合、安定性が重視される。ヒト幹細胞培養液に含まれるタンパク質は、熱など温度変化に弱いこと。また、水溶液中では、時間経過とともに構造が変化してしまう。ヒト幹細胞培養液に含まれるタンパク質は、特有の構造になっており、その特有の構造が壊れてしまうと上手く働くことができなくなる。
そのため、物理的な変化からヒト幹細胞培養液のたんぱく質成分を守るため、脂質によるリポソーム加工を行うことが必修といえる。また、リポソーム加工することは、肌への馴染みをよくし角質への浸透を良くするという効果もある。リポソームとは脂質の二重になった細胞膜に似た構造をしている。

#

↑