【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目㉒美白技術(下) ~美肌菌、時間差浸透技術等で美白化粧品開発~

2020.05.27

特集

編集部

ロレアルの子会社ランコムは、年齢や環境、ライフスタイル等によって皮膚に存在する美肌菌が肌の防御力や回復力、バリア機能をサポートし、ハリや弾力、質感等の美白に関与していることを解明した。
美肌菌とは、誰もが生まれ持つ肌にいい働きをもたらす常在菌のこと。わずか2平方センチの皮膚に約200万個も存在、バリア機能や肌の自己回復力を促す役割を担っている。しかし、ストレスや生活習慣の乱れ、環境汚染などの影響を受けやすく美肌菌の量やバランスが変化しやすいことが欠点。
このため、肌のコンディションを健やかに保つためには、美肌菌の栄養源となるオリゴ糖などの善玉菌を増やす成分(プレバイオティクス)を与えることが知られている。
同社は、スキンケア化粧品の開発にあたって、もともと2種の人体に良い影響を与える成分「プロバイオティクス由来成分」を配合していたが、美肌菌がハリや弾力、質感に深くかかわっていることを突き止めた。
このためスキンケア化粧品を新たに開発する際、美肌菌の成長を促す栄養源「プレバイオティクス」と肌に存在し良い影響を与える「プロバイオティクス由来成分」などの有用成分を配合して商品化を行い、美白効果に繋げた。

化粧品事業に力を入れる大塚製薬株式会社(東京都千代田区)は、革新的な製品を開発し、人々の健康に貢献するという企業理念のもと1990年に設立した大津スキンケア研究所において体重の約16%を占める器官である皮膚に着目し「肌の健康」を考える「健粧品=コスメディクス」という概念のもとスキンケア製品の研究開発を続けてきた。
こうした中、肌を健やかな状態に保つための重要な要素で、保湿化粧品に求められる3つの美白機能である①角質細胞を水分で満たす保水力②肌を柔らかくする柔軟力③水分を逃がさない密閉力の3つの機能を発揮する時間差浸透技術を開発した。
同技術は、薬用有効成分「エナジーシグナルAMP」による美白機能と肌を健やかな状態に保つための重要な要素で、保湿製品等に求められる3つの機能を合わせもつ。

同社は、健やかな肌を保つために必要なこととして「エネルギー代謝の活性化である」と考え、1000種類以上の植物や酵母などを調べて研究を重ねた。その結果、2004年に薬用美白成分「エナジーシグナルAMP」を開発した。さらに同社は、植物の発芽や成長に寄与するエネルギー代謝関連成分「エナジーシグナルAMP」と保湿に重要な3つの機能をあわせもった時間差浸透技術を開発し、同技術を応用してスキンケア化粧品「インナーシグナル」を商品化し、百貨店や通販ルート等に乗せて国内外で販売している。

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