【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目㉗常在菌研究(上)

2020.06.29

特集

編集部

肌に生息し美肌に欠かせない菌「常在菌」の研究が盛んだ。皮膚常在菌の数が減少したり、菌のバランスが崩れたりすると、ニキビ・乾燥肌・敏感肌といった肌トラブルを起こしやすくなるとしてその機能が注目されている。
現在、皮膚常在菌として善玉菌(表皮ブドウ球菌など)、日和見菌(アクネ菌・マラセチア酵母など)、悪玉菌(黄色ブドウ球菌など)などが知られている。

これらの皮膚常在菌は、特徴として皮膚常在菌が生きた菌で、殺菌成分が苦手な点にある。しかし、化粧品には、微生物やカビの繁殖を防ぐパラベンやフェノキシエタノールなどの「合成防腐剤」や洗浄力や吸着性の強い「合成界面活性剤」といった殺菌成分が含まれており、皮膚常在菌のバラに戻るといわれている。
合成界面活性剤が含まれた洗浄力の強いクレンジングで洗顔したらバランスを崩し、皮膚常在菌を減少させる原因となっている。

通常、洗顔によって皮膚常在菌を洗い流したとしても、毛穴に残った常在菌が繁殖するため15分ほどで元り、1日に何度も洗顔したりすることで皮膚常在菌は減少する。
ストレスは、ホルモンバランスを乱し、腸内の善玉菌を減少させる。これは肌の善玉菌をも減少させ肌トラブルを引き起こすと指摘されている。また、睡眠不足が続くと自律神経の乱れから男性ホルモンを多く分泌するようになる。その結果、皮脂を過剰に分泌してオイリー肌になってしまう。このように皮脂の量や質が変わると皮膚常在菌も必然的にバランスを崩すことに繋がる。

皮膚常在菌が住みやすい環境を整えるには、週に1日はメイクをしない日を作り、自然界の素材のみで作られたオーガニックコスメを使うなど切り替える必要がある。
例えば、メイクやリップには、リムーバーを使って肌の大部分にミルク、ジェルなど肌への負担を抑えるクレンジングを使うことも一案といえる。つまり、肌の乾燥やニキビ等に悩んでいる人は、皮膚常在菌が住みやすい環境を意識して作り出すことが重要。
具体的には
①バランスを崩すスキンケアをやめて美肌菌の自己増殖を待つ
②美肌菌が生み出す有益な成分を肌に塗布し菌の活動後のような肌状態にする
③自分の美肌菌を外部培養して戻す
④美肌菌のエサを肌に塗布するなど4つの方法がある。

人間の皮膚表面や毛穴の中に約20種類、数億個の常在菌が生息している。この常在菌は、雑菌として見過ごされがち。
顔の毛穴は細長く洗顔だけでつまりを採ることはできない。近年、毛穴のつまりを除去する外用薬が開発され抗菌薬を使わない治療が広く行われるようになった。

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