【連載】この中小化粧品会社に注目④パルセイユ(下) ~オーガニックコスメの普及・啓蒙に力~

2020.08.7

特集

編集部

パルセイユは、化粧品のオーガニック認証を行う一般社団法人「 日本美容成分研究協会」を設立(2013年)するとともに、オーガニックの原材料や認証等のスキルを教える「ナチュラルコスメマスター」の養成・輩出に乗り出すなどオーガニックコスメの普及・啓発に力を入れている。

ナチュラルコスメマスターの認定は、もともとプロ向けに作られていた資格を一般の人向けに優しくポイントを絞って教えるもの。例えば、石鹸、合成洗剤等の歴史から皮膚理論、化粧品成分など肌に関連した知識を講座形式で教える。
初級講座のカリキュラム内容は、石鹸・洗剤学、皮膚学、化粧品学、化粧品成分学、アロマテラピー学など肌に関連した分野を教える。
こうした個別対応の講座は、同社において行う。初級講座の場合、午前10時から午後4時まで。4時から30分程度、筆記試験を行う。合格者には、認定書を発行する。受講料は、3万円。

同協会はまた、成分について理解があり、オーガニックの材料を知っている取り扱い責任者やマッサージ、トリートメントなどの施術士を養成する美容技能施術士も教育・養成している。
こうした講座を受講し認定書を受けた認定者は、将来、同社とオーガニックコスメの開発、クライアントとしてつながりを持つことが期待されている。

同協会は、ナチュラルコスメマスターの養成・認定と合わせてエキスを抽出する際に使用または、原料を安定させる目的で使用する「キャリーオーバー成分」(アルコール、安定剤、酸化防止剤、防腐剤など)の無添加認証も行っている。
オーガニック認証は、コストがかかり、コストプッシュとして価格に反映されるため消費者の負担増になる。そのため、自ら協会を作り、独自の基準を設けて、パラベン・フェノキシエタノールなどの石油系防腐剤、いわゆるキャリーオーバー成分の無添加認証「Free」マークを発行している。
現在、世界各国にオーガニック認証を行う専門機関がある中で、同社が独自のオーガニック認証を行う協会を設立したのは、防腐剤を一切、使わないオーガニックコスメの消費者ニーズが依然、強いことが背景にある。

通常、化粧品の原料・成分は、原料メーカーが検査・防腐処理を施し、保証された成分を購入して化粧品メーカーが独自の処方で製品を作る。ところが、原料メーカーを中心に品質を安定化させるため、キャリーオーバー成分を微量に混入している状況にある。しかも、改正薬事法では、効力を発揮しない微量の防腐剤は、表示しなくて良いとされている。
こうした防腐剤に過敏になっている消費者のニーズに応え合わせてオーガニックコスメの消費拡大に繋げる狙いで、独自の認証機関を作った。
だが、同協会のオーガニック認証の仕方や専門家の育成など情報が公開されるとはいいがたい。将来の運営、認証面で課題を背負っている。

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