【連載】この中小化粧品会社に注目⑪日本オリーブ(上)~紫根エキスの抽出技術で特許取得~

2020.09.10

特集

編集部

オリーブの国内産地は、岡山県瀬戸内市や香川県小豆島が地域特産品として名高い。このオリーブのエキスを使った化粧品や食品、苗木の製造・販売等を日本オリーブ(岡山県瀬戸内市牛窓町、1949年設立)が事業展開している。
同社の創業者が1942年4月に「オリーブは食用になり、薬用になり、灯火にもなる」として牛窓の丘陵地にオリーブを植樹、7年後の1949年6月に現法人を設立し事業展開をはじめた。

事業開始後の第一号商品としてオリーブの果実を用いた「化粧用オリーブオイル」を商品化し販売した。しかし、オリーブの剪定枝や葉については、大部分が廃棄または堆肥や飼料として使われていた。特に、オリーブ葉には、抗酸化物質であるオレウロペインが豊富に含まれているものの、付加価値の高い商品開発がほとんどされていなかった。

そこで同社は、岡山大学と共同で、オリーブの葉に多く含まれるポリフェノールの一種「レウロペインアグリコン」を効率良く抽出することに成功し、それをオリーブの花から採取した微生物によって「還元型オレウロペインアグリコン」(オレウロペインのグルコースが外れた化合物)に変換することに繋げた。
この還元型オレウロペインアグリコンの抗酸化活性は、既存の抗酸化剤として知られているビタミンCやビタミンEより強力な抗酸化活性を有するのが特徴。

一方で、漢方の原料である紫紺(しこん・生薬)から抽出した潤い効果がある紫根エキス(鮮やかな赤色あるいは高貴な紫色をしている)を配合した化粧品を商品化に乗り出した。しかし、紫根大国の中国などが紫根の輸出停止に踏み切り、天然物から効率的に紫根成分を抽出する必要に迫られ、開発が頓挫した。

そこで、同社は、地元企業と共同で「紫根エキスの抽出方法及び皮膚外用剤の製造方法」に関する技術開発に取り組み、特許を取得(2012年)した。
同抽出技術は、液体二酸化炭素(CO2)抽出による発酵法で、常温抽出のため、熱劣化がなく環境に負荷を与えないなどのメリットがある。発酵法で得られた変換型安定ビタミンCやビタミンEを美容成分として配合できる。

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