【連載】化粧品・美容企業の新規上場①化粧品・美容企業等の新規上場~この1年間で中小・ベンチャー企業6社が新規上場 ~

2021.06.14

特集

編集部

株式会社美容経済新聞社(東京島港区)の調査で、昨年(2020年)から今年(2021年)6月までの約9ヵ月間に化粧品・美容関連の中小・ベンチャー企業の新規上場が6社(表参照)に上ることが明らかになった。

化粧品業界は、異業種から化粧品分野に新規参入する動きがより鮮明になる一方、流通販売網を持たず直接、ネットで消費者に化粧品を販売するD to C方式の販売事業者が出現するなど新たな潮流が起こっている。
こうした中で、これまで他業種に比べて新規上場が極端に低いと指摘され続けてきた化粧品業界にあって1年たたない短期間に、中小・ベンチャー企業など新興企業6社が株式を新規公開することは、コロナ禍で暗い環境にある化粧品業界に燭光を照らす動きとして歓迎される。

株式会社グラフィコ(東京都品川区)や株式会社I-ne(アイエヌイー、大阪府大阪市)など新規上場6社は、化粧品専業ではなく化粧品を主軸にサプリメントや食品、医薬品等の複合事業を展開する。また、6社が上場する株式市場は、東京証券取引所運営のジャスダック市場とマザーズ市場が中心。

ジャスダック市場は、かつての店頭登録市場を発展させた中小企業専門市場。一定の事業規模と実績を有する老舗中小企業を上場の対象とする「スタンダード」と将来の成長が目される新興中小企業を対象とした「グロース」の2つの市場区分がある。
これに対してマザーズ市場は、1999年11月に開設された社歴の浅いベンチャー企業向け市場。直近の財務内容が赤字であっても事業計画などをもとに、将来大きく成長できると評価されれば上場が可能となる。

6社の上場直近の業績は、一部の企業を除いて大半が赤字決算。それでもマザーズ市場に上場を実現したのは、ご多聞にもれず「将来、事業が成長軌道に乗り業績も右肩上がりになる」と投資・出資した金融機関系列ベンチャーキャピタル(VC)や証券会社、証券取引所などから評価されたことが主因。

日本のマザーズ市場は、米国のベンチャー市場であるナスダック市場をまねて開設された。
米国では、ナスダック市場に株式公開する技術開発型のスモールビジネスカンパニー(中小企業)がこぞって新規公開することで、米国経済の活力を生み出す源泉になっている。
日本のマザーズ市場の場合、米国のように経済全体を押し上げる活力の源泉とまではいかないが「マザーズ上場を果たした中小・ベンチャー企業が上場3年以内にどの程度、収益を向上させるか」に関心が集まる。

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