化粧品OEM・ODM各社の「ユーザーニーズに対応するわが社の事業展開」【8】 特許製品「スライドブラシ」実用化~竹田ブラシ製作所(中)
2014.08.7
編集部
竹田ブラシ製作所は、蓋付き携帯用化粧容器「スライドブラシ」(写真)の開発・商品化に代表される高い技術開発力を持つ。スライドブラシは、容器に取り付けた操作ボタンで、蓋の開閉がワンタッチで操作でき「内ケース」「内容物」「外ケース」それぞれが固定、開放する機能構造になっている。
スライドブラシの特徴は①開閉ボタンを動かす方向が化粧筆などの内容物の動きに直結しているため、ボタンのロックや蓋の自動開閉がスムーズに行なえ、誤作動が起きない②ボタンの取り付け位置も自由にでき、樹脂の弾力により止めたい場所で止められるため、内容物の出る長さが調整できリップクリーム、口紅などのスティック状の化粧品や薬品のケースなどにも簡単に応用できる。
スライドブラシは、化粧用具及び化粧品収納ケースの内部構造について2006年5月に国内特許を取得。米国・EU諸国でも特許を取得した。また、開口部の開閉機構について2009年8月に国内特許を取得するとともに米国・カナダ・EU・中国・韓国・インドで特許申請中。2009年には、伸縮収納化粧筆として意匠登録した。
しかし、特許を取得したとはいえ、満足のいく「スライドブラシ」を実用化するまでには、多くの時間と労力を要したのも事実。
スライドブラシ開発の契機になったのは、1982年に開発した携帯用チークブラシが日本・韓国・中国などでコピーされ海賊版が出回ったことが引き金。「特許で権利を保護し,コピーされにくくすること。同時に、化粧筆を衛生的に携帯できて使い易くすることが開発の契機」(竹田社長)だった。
開発に当たって同社は、経産省の補助事業「地域資源活用新事業展開支援事業」を活用した。
同支援事業は、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興のため、地域資源を活用した新商品・新サービスの開発や販路開拓に意欲的に取り組む中小企業に対し、事業計画を審査して認定し、開発費や販路開拓費などに要した軽費の3分の2を補助するもの。5年間にわたって補助が延長・適用される。
同社は、2007年に同支援事業の適用を受け2009年に最初の試作品(蓋が一枚)を完成させた。しかし、完成後「幾度となく試作金型の微調整や改良を行い、その都度、マーケティングを繰り返したが蓋一枚の商品化に限界を感じた」(竹田社長)。
そこで蓄積したデータをもとに新しく金型を作り2013年に「蓋が二枚で観音開き」の使い手のニーズに対応した新しいデザイン容器「スライドブラシ」を完成させた。
「こうした構造、機能性を持つ化粧ブラシは今のところ、世界のどこにもない。また、金型を40種類保有し直接、化粧品会社などから当社ラインナップをそのままベースとした受託製造の機会が増えてきた。引き続き、OEMや新製品開発についての提案・相談を羨望している」(竹田社長)と語る。
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