連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【2】イオン、初のPB基礎化粧品を全国470の店舗網で拡販
2014.11.14
編集部
国内の小売業で最大の売上規模(6兆3,950億円、2014年2月期連結)を誇るイオンが化粧品分野に本格参入した。同社が独自に定めた選定商品トップバリュに基づくPB(自主企画)基礎化粧品「グラマティカル」(写真)を商品化し、9月(2014年)から全国470のイオン店舗などで販売を始めた。同社がトップバリュセレクトのPB 化粧品を開発・販売するのは初のケース。
グラマティカルは、肌悩み別に①リペアキイスト②ディープモイスト③リセットモイスト④ハイドレーションの4つのラインに分け肌質、乾燥肌など肌悩み別に対応した美容液や乳液、クリームなど17品目を揃える。いずれも同社が掲げるコンセプト「美と健康」の切り口から肌悩みに対応した商品開発を行った。
4ラインの中で、毛穴、つや、ハリなどに対応する美容液で、化粧水、乳液、クリームなど5つの機能を合わせ持つ「ハイドレーションセラム」は、16種類の美容成分を高圧真空乳化処理でナノサイズまで微細化し、角質層への浸透度を高めた。同時に、美容成分を独自のバランスで配合した「STヴェール処方」(名称・STはストレッチの頭文字)で肌を整え、ハリを与えることに繋げた。
同社は、今年9月からグラマティカルを全国のイオン店やダイエー、イオンスーパーセンター、マルナカなど約470店舗で販売を開始。イオン店舗では、美容師が肌の悩みを提案しながら対面形式で販売を始めている。また、イオンショップ、イオンダイレクトなどのサイトからパソコンやスマートフォンで購入できる。
同社では「年齢層別にブランドをつけて販売している他社と違って当社は、肌悩み別に合わせた化粧品を提供している点に特徴がある。グラマティカルの売上は、非公表。今後、年代や肌質によって変わるさまざまな肌の悩みに対応するスペシャルスキンケアアイテムの拡充を図り市場に投入する計画」としている。
同社は、化粧品事業について約20年前から国内、海外のブランド化粧品を仕入れて店舗販売してきた。また、2011年8月にグループ会社「コスメーム」(千葉市)を設立して世界一流のハイエンド化粧品を一堂に集めて販売する小売形態の化粧品セレクトショップを展開。いわば、化粧品事業は、永年にわたって外部から化粧品を仕入れて販売する形態が中心だった。
そうした経緯を辿る中で同社が今度、トップバリュセレクトのPB 化粧品を開発し、自社ブランドを錦の御旗にしながら一大店舗網で本格販売するのは、美と健康を推進する企業イメージの浸透を図りトップバリュセレクト商品として化粧品やサプリメント(11月4日第1弾商品販売)などの商材を一段と増やすのが狙い。すでに同社のトップバリュ商品総数は6,000点を超え、トップバリュの売上高は7,410億円(2014年2月期)にのぼる。
小売業のガリバーで総合スーパー(gms)のイオンが化粧品分野に本格参入したことで、すでに化粧品分野に参入しているスーパー、コンビニ、薬局・薬剤などの小売チェーンや量販店、通販事業者、既存の化粧品メーカーなどを巻き込んだ小売市場での激しい化粧品争奪戦が繰り広げられるのは必至となった。
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