連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【17】バスクリン、入浴剤を凌駕する育毛剤ビジネスに期待(下)

2015.04.13

特集

編集部

バスクリンは、モウコタンポポ根(蒲公英根)エキスなど生薬配合の育毛剤について有効性試験を行い効能・効果を実証している。

有効性試験は①マウス育毛試験②毛包強化因子産生促進効果③ヒト皮膚の毛包強化因子の発現④ヒトフォトトリコグラム試験について行った。

これらの試験結果に基づきモウコタンポポ根エキス配合の育毛剤は、マウスを用いた育毛試験において育毛促進作用を示し、毛包を早く大きくすることが病理組織学的観察により明らかとなった。 また、モウコタンポポ根エキスに4つの生薬エキスを混合すると毛包強化因子の発現をさらに増強することが判明。また、毛包強化因子産生促進効果の試験では、リボ核酸の発現量はモウコタンポポ根単独よりも相乗的に増強されることが明らかとなった(毛包強化因子産生促進に関わるエビデンス図参照)。さらに、モウコタンポポ根エキス配合の育毛剤は、育毛・養毛作用の画像評価試験法「ヒトフォトトリコグラム試験」において十分な育毛促進作用を示し「その効果は使用者の実感を伴っている」としている。fe0f093dfac3a267a810a1525b74ebb2

こうした漢方の原料生薬の持つ有効成分を育毛剤開発に応用して商品化を図る技術開発力は高く評価される。特に、東洋医学の概念を育毛剤の研究開発に反映させている点が他社にない特徴といえる。

同社は、育毛剤開発の基本方針として①東洋医学の概念を基軸にした開発思想②東洋医学の概念を応用した処方構成③古典書などの記述をヒントにした素材選抜④現代科学を駆使した研究開発⑤現代科学による作用機序の解明⑥高活性生薬原料および抽出法の研究開発⑦独自の規格設定による原料、製品の品質確保⑧ヒトでの効果の検証 ・ヒトフォトトリコグラム法による試験の実施などを打ち出して開発を推進している。

この中で、東洋医学の概念を応用した製剤設計について「気・形のない生命エネルギー」「血・赤色の液体、血液などの体液」「水・無色の液体、水分」を生命恒常維持の3大要素と規定。また、東洋医学における処方構成について「血」に作用する生薬を「君薬」とし、その働きを助けたり補ったりする目的で「臣薬」「佐薬」「使薬」などの生薬を足して組合せる構成となっている。

同社はこうした処方構成に基づいて「血」に作用する素材として生姜(しょうが)の根を乾燥させた「ショウキョウ」に血流促進作用の1つの素材として選定、生薬を組み合わせながら育毛研究を行っている。

今後、薄毛に着目してどのような生薬有効成分を新たに見出し、新規育毛剤の開発に繋げるか、入浴剤を凌駕する育毛剤ビジネスに賭ける期待は大きい。

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