【連載】化粧品各社のイノベーション研究【16】ノエビア① ~成長の軌跡を辿る美容事業~
2016.03.23
編集部
株式会社ノエビアホールディングス(兵庫県神戸市、以下ノエビアHD)は、化粧品事業を行う株式会社ノエビアと医薬品事業を行う常盤薬品工業株式会社など、国内5社と海外8社でグループ(表)を形成。
ノエビアHDの前期(2015年9月期)売上高は493億87百万円、このうち、化粧品など美容事業の売上は340億13百万円、全売上に占める割合が約68.9%を占めている。ノエビアHDの今期(2016年9月期)総売上高は、505億円を見込むなどさらなる成長の軌跡を辿る状況にある。
こうした業績の中で、前期に68%強の美容売上を稼ぎ出しているのが、東京と神戸の2本社制を敷く子会社のノエビアと常盤薬品工業である。
現在、ノエビアと常盤薬品工業が市場投入している化粧品品目数(アイテム数)は、ノエビア17品目、常盤薬品工業22品目にのぼる。
その中でノエビアを代表する主要トップブランド商品が、スキンケア「ノエビアスペチア―レ薬用シリーズ」と26種の植物エキスを配合した「ノエビア505薬用シリーズ」。
また、常盤薬品工業を代表するトップブランドが、豆乳イソブラボン配合のスキンケアシリーズ「なめらか本舗」や低刺激性化粧品シリーズの「ノブ」、高機能ベースメイク「毛穴パテ職人」などがある。
化粧品の販売チャンネルは、直営店舗の「ノエビアスタイル」(現在の店舗数9店)展開による対面形式での販売と全国14万件(2015年9月現在)にのぼる販売代理店が展開する美容サロン「ノエビアビューティスタジオ」(2015年9月現在約1600スタジオ)でのスキンケアレッスンなどを行いながら、カウンセリング形態で販売(健康食品、アパレル商品含む)している。
同社の美容収益事業の要諦「ノエビアビューティスタジオ」は、2011年からブランドイメージの確立などを狙いに本格展開を始めたもの。同社はスタジオ開設について、「社内美容資格のスキンケアアドバイザー制度取得やサロン設備、顧客管理、サロン環境について一定レベルをクリアすることが認定条件になっている」という。
通販事業も統合再編し強化した。ノエビアと常磐薬品工業などが分散して手掛けていたエクセル、ノブなど6つの通販サイトを新たな通販サイト「ノエビアグループ ショッピングモール」に統合して集約化(2015年10月)し、ブランディング強化とブランドの相乗効果を図った。
同社が今後、力を入れていくのは、商品を普及するための「販売力」と「市場競争力」、「財務体質」強化の3点。
販売力については、対面販売と通信を融合させたハイブリッド戦略を構築し、インターネットツールから得た顧客情報を有効活用するデータベースマーケティングに力を入れる。これによりサービスの質向上を推進するとともに、新たなビジネス機会を創造することで市場競争力の強化に繋げる。
ノエビアは、2011年3月に組織改正以降、新設組織「国際統括部」の管轄の基、アジア地域での販売網整備や現地法人、代理店の設置、輸出入業務などを推進してきた。今後、新拠点網の開設や海外市場の開拓を一段と進めるなど国際化をさらに加速する方針。